遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

オルガ

2020年09月28日 10時44分55秒 | 読書

       オルガ   ベルンハルト・シュリンク(著)2020年4月発行

  19世紀末から第一次世界大戦、ナチの台頭、ドイツ敗戦後の社会の混乱、

  そんな欧州の激動の時代、過酷な環境にあり、たった一人で小さな幸せを求め、

  信念を持って毅然と生き抜いたポーランド系ドイツ人女性「オルガ」の人生

  が淡々と語られ、彼女の知られることのなかった謎が解かれていく。

  三部構成からなり、一部は、オルガの生い立ち(孤児となってドイツの祖母に

  引き取られるも、愛情を受けることなく寂しく育つ)。

  貧しくも必死に勉強し自力で教員となり、祖母から離れ自立する。

  幼い頃からの知り合いで農園主の息子ヘルベルトと恋に落ちるも、

  彼の親の許しは得られず結婚はできなかった。

  世の中(ドイツ社会)は徐々に変化し、彼女は発熱の後遺症で耳が聞こえなく

  なり教員をクビになってしまう。が、その後、聾学校へ通い、裁縫や子守を

  しながら生計を立て生きていく。・・・

  とにかく、不幸な生い立ちや困難にもめげることなく、正義と信念をもち

  毅然と生きるオルガが、彼女とは対称的に、広大な地、冒険を求め夢想し、

  旅に出るヘルベルトを愛し、彼を想い、信じ、帰りを待ち続ける、

  その姿には感動。

  彼女は、北極ルートを開拓すべく、探検に出かけ音信不通になってしまう

  ヘルベルト宛に、ノルウエーのトロムソの郵便局留めで手紙を送っていた

  ことが20世紀後半になってわかり、彼女が可愛がったフェルディナンドに

  行動より、その手紙の束が発見される。

  三部では、それらの手紙の内容から、彼女が生涯語ることのなかった驚きの

  事実も明らかになる。

  どうみても、苦労ばかりの苦難の人生を生きたようにしか見えないオルガだが、

  自分を信じ、小さな幸せを感じる力に優れている女性だったんだなあ、、、と思う。

  (それでも、息子アイクと理解しあえずに終わったのは悲しい)

  著者の作品『朗読者』より、個人的には本書の方が惹きこまれました。

    わがまま母

 「オルガ」案内文転記

 — 19世紀末、ベレスラウ(現ポーランド)の貧しい家に生まれ、ドイツ東北部

   に住む祖母に引き取られたオルガは、誰にも媚びない性格を気に入られて

   農園主の息子ヘルベルトと恋仲になる。だが結婚は許されず、行き場のない

   ヘルベルトは北極圏への冒険に出たまま消息を絶った。僻地への赴任、ナチス

   の台頭、身体の変調、戦災からの逃避・・・・。

   数々の苦難を乗り越えたオルガは、人生の最後に途方もない行動に出る。

   一人の女性の毅然とした生き方を描いて話題となった最新長編。

 —

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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