あきない世傳 金と銀〈九〉淵泉篇 高田郁(著)2020年9月発行
お馴染みのヒロイン「幸」が、“買うての幸い、売っての幸せ”を商いの芯とし、
苦難多き呉服店「五鈴屋」を舞台に、奉公人たちと心を一つにして、次々と降ってくる
難題を知恵と努力で乗り越えていく商いと人情話の第9弾。
江戸に出店後、幸は支配人として縮緬や「江戸小紋」を工夫し流行させ、更に、
新たな飛躍を目指し、干支の文字を図柄とし染め生地を作る、という斬新なアイデアを
実現させつつあった。
が、まさにその直前、妹「結」の裏切りにより幸たちは酷い痛みを受ける。
その上に、「五鈴屋」が呉服が商えなくなる、という最大の窮地に追い込まれてしまう。
「幸」のみならず、奉公人たち、職人たち皆が様々な痛み味わう波乱の九篇となっているが、
終盤、さすがは「幸」! 逆転の発想で知恵を働かせ、新たな試みが始まり希望がのぞく。
相変わらず、人情、忍耐、思いやり、知恵、努力が満載、安心安定の時代小説です。
わがまま母
↓ 本の案内文を転記
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大坂から江戸に出店して四年目、まさにこれから、という矢先、呉服太物商の五鈴屋は、
店主幸の妹、結により厳しい事態に追い込まれる。型彫り師の機転によりその危機を脱した
かと思いきや、今度は商いの存亡に関わる最大の困難が待ち受けていた。だが、五鈴屋の主従
は絶望の淵に突き落とされながらも、こんこんと湧き上がる泉のように知恵を絞り、新たなる
夢を育んでいく。商道を究めることを縦糸に、折々の人間模様を緯糸に、織りなされていく
江戸時代中期の商家の物語。
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