マハラジャの葬列 アビール・ムカジー(著)2021年3月発行
珍しいことに、ハヤカワミステリなどを手にとり読んでみたところ、
面白く、ワクワクしながら最後のページまで読み終えました。
1920年、英国統治下のカルカッタで起こった王太子暗殺事件を、
英国人警部と、ペアを組むインド人の刑事(ケンブリッジ留学経験あり)が
真相を解明しようと藩王国サンバルプールまで出向き、マハラジャが統治する
藩王国内の利害関係や、複雑な人間関係に戸惑い翻弄されつつも、
王太子の死と更なる複数の殺人事件の謎を追及していく・・・というストーリー。
作者が、ロンドン生まれのインド移民二世、ということもあってか、
英国植民地政策下のインドの藩王時代の社会の構図、宗教、風俗、人心などが
渾然一体となっている状況、事件の背景が整理され理解しやすく描かれている。
インド独立前の歴史的背景や社会の雰囲気が詳しく、かつ重くなく描かれており、
歴史好きとしては(独特の宗教観やミステリーが苦手でも)興味深く楽しめた。
著者の前作『カルカッタの殺人』は、英国推理作家協会賞ヒストリカル・ダガー賞を
受賞しており、本作品が第2作目。このシリーズは現在4作まで発表されているとの
ことなので、人気のシリーズなんですね、納得。
わがまま母
以下、案内文を転記
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1920年、英国統治下のカルカッタで、藩王国サンバルプールび王太子が暗殺された。
実行犯に目前で自殺されたインド帝国警察の英国警部ウィンダムは、相棒で同居人の
インド人刑事パネルジーと共に、真相を追ってサンバルプールへ赴く。だが、王国の
独特な慣習に翻弄されて捜査は難航。しかも、更なる殺人事件が起こり、背後には
英国諜報機関の影が・・・独立の気運に揺れるインドを舞台に英国人とインド人の
名刑事コンビが活躍する傑作歴史ミステリのシリーズ第2弾。
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