無双の花 葉室麟(著)2012年1月発行
読んでいた時期が、ちょうどロンドンオリンピック開催中で
チームジャパンを応援しながらだったからかな、、、とも考えましたが、
どうもそういう訳ではなく、心の底からじわ~っと湧いてくる
「日本人もなかなかいいな~」という感情をしみじみ味わわせてくれる小説でした。
主人公、家来、正室、側室、家康、、、
登場人物みんなそれぞれが格好良すぎるのが多少気になったりテレるけど、
小説の中でくらい思いっきりカッコいい男や女を堪能するのもいいかな。
慶長五年(1600年)10月、筑後柳川十三万石の領主立花宗茂が率いる軍勢が
自領の九州柳川城へ向かっていた。
秀吉に大名に取り立てられ西国無双と賞賛された宗茂だったが、
関ヶ原の戦いで破れ、西軍側の他陣営の戦いぶりに落胆し柳川に戻る。
城に着く手前で宗茂は一人隊列を離れ、4年間別居中の妻が住む宮永村へ向かった。
こんな始まりから展開する時代小説で、
とにかく宗茂はどんな逆境にあっても「立花の義」を貫こうとし
そんな宗茂を自分なりに支えようとする妻や
宗茂を信じ慕い従う臣下たち、の物語。
今まで散々描かれて来た秀吉や家康だが、
著者の見方がそれとはひと味違っていて、とても興味深い。
それから後半に登場し、宗茂と絡む伊達正宗、片倉小十郎は
意外なオマケがついていた、みたいな驚きがあって嬉しかった。
本当は、前作、直木賞の『蜩の記』を先に読むつもりでいたが人気高く、
直木賞後の作品を先に読むことになってしまったが、満足。
濁った心も徐々に澄んでくる、そんな気分にさせてくれる爽快な時代小説。
わがまま母