イーハートーヴォの心象スケッチ 宮沢賢治童話傑作集 34話 第11回
21) 猫の事務所
この話は明確にお役人批判です。第6事務所の「猫の歴史と地理」の仕事ぶりと人間関係を描いています。所長は黒猫、第1書記は白猫、第2書記は虎猫、第3書記は三毛猫、第4書記は釜猫です。どうも第4書記はキャリアーではない事務職のようです。皆から無視されるか白い目で見られています。釜猫が風邪をひいて休んだ時、原簿を取り上げられ仕事ができずつらい思いをしていましたが、上司から事務所は解散を命じられました。たいして世の中に役に立たない仕事ですが、その中で意地悪をしたりいじめたり、いやな人間関係ですね。
22) ありときのこ
蟻の軍隊の仕事の話です。蟻の歩哨(門番)が立っていますと、2匹の蟻の子がやってきて、楢の木の下に白い建物ができていると注進します。歩哨はじっとそれを見て頭をかかえてしまいました。自分はここを離れられないから、子供たちに陸軍測量部へ報告するようにたのみました。そして蟻の子供らが帰ってきて歩哨にいいました。「あれはキノコだから心配するな」
23) やまなし
宮沢賢治の童話には幻燈という言葉が使われます。これはイメージ、心象、映像という意味です。2匹の蟹子供らは河底で泡を吹きながら、いろいろなものを見ます。タラムボンとはこの吐き出す泡のことのようです。お魚やそれを取りに来るカワセミ、流れ去る樺の花、山梨などのスケッチが描かれています。
(つづく)
--------------------------------------------------------------------------------
宮沢賢治作 「風の又三郎」 他18篇 (3)
--------------------------------------------------------------------------------
宮沢賢治作 「風の又三郎」 他18篇 (3)
--------------------------------------------------------------------------------
21) 猫の事務所
この話は明確にお役人批判です。第6事務所の「猫の歴史と地理」の仕事ぶりと人間関係を描いています。所長は黒猫、第1書記は白猫、第2書記は虎猫、第3書記は三毛猫、第4書記は釜猫です。どうも第4書記はキャリアーではない事務職のようです。皆から無視されるか白い目で見られています。釜猫が風邪をひいて休んだ時、原簿を取り上げられ仕事ができずつらい思いをしていましたが、上司から事務所は解散を命じられました。たいして世の中に役に立たない仕事ですが、その中で意地悪をしたりいじめたり、いやな人間関係ですね。
22) ありときのこ
蟻の軍隊の仕事の話です。蟻の歩哨(門番)が立っていますと、2匹の蟻の子がやってきて、楢の木の下に白い建物ができていると注進します。歩哨はじっとそれを見て頭をかかえてしまいました。自分はここを離れられないから、子供たちに陸軍測量部へ報告するようにたのみました。そして蟻の子供らが帰ってきて歩哨にいいました。「あれはキノコだから心配するな」
23) やまなし
宮沢賢治の童話には幻燈という言葉が使われます。これはイメージ、心象、映像という意味です。2匹の蟹子供らは河底で泡を吹きながら、いろいろなものを見ます。タラムボンとはこの吐き出す泡のことのようです。お魚やそれを取りに来るカワセミ、流れ去る樺の花、山梨などのスケッチが描かれています。
(つづく)