ブログ 「ごまめの歯軋り」

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熊倉正修 著 「日本のマクロ経済政策」

2021年06月23日 | 書評
京都市東山区 「知恩院 古門」

熊倉正修 著 「日本のマクロ経済政策」 

岩波新書(2019年6月)(その15)

第5章 マクロ経済政策と民主主義―日本が生まれ変わる条件

1) 既定路線の政策の先にあるもの

日本政府のマクロ経済政策には問題点が多い。①客観的な現状分析に基づいていない、②持続的でない政策が行われている、③政策目標や会計規則を操作するなどして糊塗し既存の政策を続行することである。これらはいずれも財務官僚の習性そのものである。日本の為替・金融・財政政策が合理と持続性を欠き、異次元緩和は表面的にはデフレ対策というが実際は円安を煽って景気を刺激し、政府債務負担を軽減するための政策である。日銀が国債の利回りをゼロに張り付けているので、政府の債務が増えても利払いはむしろ減少している。こんな政策が永遠に続けられるなら、国民から税金や社会保障費を徴収する必要性もなくなる。いくらでも国債=貨幣を印刷できるのだろうか。世界の金融資産の利回りは国債の利回りに流動性プレミアムやリスクを上乗せする形で決定されているので、国債だけを利回りをゼロにしておくことはできない。銀行にとって国債と有志が金融資産であるので、国債の利回りと銀行貸し出し金利が連動している。貸出金利は平均0.5%台に下がってきた。実質貸出金利がゼロかマイナスになると、利益を全く生まない企業も生存させることになり、非効率な企業が市場から淘汰されない。これを「金融抑圧」と呼び、金融システムが脆弱化する。しかし日銀が長期金利をゼロ近傍に張り付ける政策を撤回することももはや困難になっている。政府が巨額の債務を抱えている以上、長期金利が1-2%でも上昇すると財政は破綻することは誰の目にも明らかになる。海外の格付け機関による日本国債の評価はすでに投資適格ランクの下限ちかくまで下落している。すると外国の公的機関の投資対象から外れる。日本の国債格付けランクがさがれば日本企業の資金調達が困難になる。日銀は国債価格だけでなく、株価や地価、為替レートなども操作しているので、外国投資家も多いため国債の影響を受けやすい。実体経済の悪化が表面化す前に、政府が舵を切って債務持続性を回復することは、ここまでくるともはや不可能である、債務・GDP比は200%を超えているので、これ以上上昇させないためは、PB/GDP比を10%以上改善しないといけないが、これは年間の税収入に匹敵する増収を見込まなければ不可能である。持続可能な債務・GDP比の上限は50%だといわれる。持続可能なPB/GDP比が2%だとすると、持続可能な債務/GDP比は100%だといわれる。いずれにせよ日本財政は破綻している。日本の財政には持続性はない。いまあるのはその場しのぎのパフォーマンスでどこまで国民をだまして引きづってゆけるかである。貨幣の膨張量「ハイパー・インフレーション」を引き起こすかもしれない。財政の持続性が失われた御判断した時点で。持ち出せる財産を外貨に換算して海外に逃亡するだろう。日本人の民間貯蓄残高だけでなく、日本人が日本国の人質になっているのである。

日本政府のマクロ経済政策には問題点が多い。①客観的な現状分析に基づいていない、②持続的でない政策が行われている、③政策目標や会計規則を操作するなどして糊塗し既存の政策を続行することである。これらはいずれも財務官僚の習性そのものである。日本の為替・金融・財政政策が合理と持続性を欠き、異次元緩和は表面的にはデフレ対策というが実際は円安を煽って景気を刺激し、政府債務負担を軽減するための政策である。日銀が国債の利回りをゼロに張り付けているので、政府の債務が増えても利払いはむしろ減少している。こんな政策が永遠に続けられるなら、国民から税金や社会保障費を徴収する必要性もなくなる。いくらでも国債=貨幣を印刷できるのだろうか。世界の金融資産の利回りは国債の利回りに流動性プレミアムやリスクを上乗せする形で決定されているので、国債だけを利回りをゼロにしておくことはできない。銀行にとって国債と有志が金融資産であるので、国債の利回りと銀行貸し出し金利が連動している。貸出金利は平均0.5%台に下がってきた。実質貸出金利がゼロかマイナスになると、利益を全く生まない企業も生存させることになり、非効率な企業が市場から淘汰されない。これを「金融抑圧」と呼び、金融システムが脆弱化する。しかし日銀が長期金利をゼロ近傍に張り付ける政策を撤回することももはや困難になっている。政府が巨額の債務を抱えている以上、長期金利が1-2%でも上昇すると財政は破綻することは誰の目にも明らかになる。海外の格付け機関による日本国債の評価はすでに投資適格ランクの下限ちかくまで下落している。すると外国の公的機関の投資対象から外れる。日本の国債格付けランクがさがれば日本企業の資金調達が困難になる。日銀は国債価格だけでなく、株価や地価、為替レートなども操作しているので、外国投資家も多いため国債の影響を受けやすい。実体経済の悪化が表面化す前に、政府が舵を切って債務持続性を回復することは、ここまでくるともはや不可能である、債務・GDP比は200%を超えているので、これ以上上昇させないためは、PB/GDP比を10%以上改善しないといけないが、これは年間の税収入に匹敵する増収を見込まなければ不可能である。持続可能な債務・GDP比の上限は50%だといわれる。持続可能なPB/GDP比が2%だとすると、持続可能な債務/GDP比は100%だといわれる。いずれにせよ日本財政は破綻している。日本の財政には持続性はない。いまあるのはその場しのぎのパフォーマンスでどこまで国民をだまして引きづってゆけるかである。貨幣の膨張量「ハイパー・インフレーション」を引き起こすかもしれない。財政の持続性が失われた御判断した時点で。持ち出せる財産を外貨に換算して海外に逃亡するだろう。日本人の民間貯蓄残高だけでなく、日本人が日本国の人質になっているのである。

(つづく)