2184冊目はこの本。
柿沼昌芳・永野恒雄・田久保清志『高校紛争 戦後教育の検証』(批評社、1996年)
もう20年くらい前の本になるのだが、卒論ゼミで高校紛争のことを扱っている学生が居るので、参考文献として紹介しようと思って読んでみた。18歳選挙権の実施が目前に迫った今、1960年代末の高校紛争や、この頃の高校生の政治運動・社会運動への参加と、それに対する教育行政・学校の取り締まりの動きは、あらためて再検証されるべき時期に来ていると思う。そのことを、この本を読んで強く感じた。
また、この高校紛争が盛んな1960年代末からこの本が書かれた時期、つまり1990年代半ばまでの左派の教育学の言説についても、あらためてその有効性の検証が必要ではないかと思う。というのも、1960年代末から90年代半ばまでの状況に対しての左派教育学からの教育行政や学校の管理主義批判が、今もなお部分的にであれ通用する側面があるとすれば、それは「学校や教育行政の体質がこの間、何も変わっていない」ということであり、と同時に、「左派教育学からの批判にはまるで効き目がなかった」ということでもあるのだから。