できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

新聞記事3つから

2008-04-02 00:34:50 | アート・文化

http://www.asahi.com/culture/stage/rakugo/OSK200803310076.html

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200804010033.html

 朝日新聞のネット配信記事から、大阪府立青少年会館やドーンセンター、ワッハ上方など一連の施設の整理・統廃合(この2つの新聞記事では「見直し」という表現をつかってますが、私は記事の内容をそうとらえました)問題を追ってみました。ちなみに、この記事が出て以来、私のこのブログにもアクセスが増加傾向にあるようです。

 ただ、大阪市の児童館・青少年会館の問題とは異なり(=大阪市の場合、市全体の青少年に関する中核的な拠点施設を整理・統廃合したわけではない)、大阪府下全域の中核的拠点施設ともいうべき府立青少年会館を廃止・売却しようとするわけですから、「そこまでやるか?」と言いたくなってしまいます。しかもその理由が、新聞記事を読む限り、「好立地で土地が売却できるから」とか。別の新聞記事には年間45万人近くの利用者が府立青少年会館にはあるそうですから、「利用者のことをどう考えているのか?」と批判されてもしかたがないでしょうね。

 また、橋下知事が府立青少年会館を訪問した際の、人件費をめぐるテレビ局のニュースバラエティ番組で映像を流してまでのあのパフォーマンスはなんだったのか。「廃止やむなし」という世論を盛り上げるためのものだったのか・・・・という気もしなくはありません。と同時に、府立体育会館も一時期整理・統廃合が問題になっていたのに、今回、その対象からはずれたのは、知事が土俵にあがって優勝力士を表彰するというパフォーマンスのできる、「大相撲のおかげ」なのでしょうか。そう考えると、相撲シーズン以外の体育会館の使われ方も気になるところです。

 それと、国際児童文学館や弥生文化博物館、考古資料館、ワッハ上方といったいわゆるミュージアム系の施設。大阪府の行政当局は、これらの施設が大阪の学術・文化振興にとって、今までどんな実績を挙げてきたのか、その検証作業をしてきたのでしょうか? コストパフォーマンスだけでなく、そうした学術・文化振興の面からもきちんと評価してほしいです。新聞記事上は27施設ということなので、他にもこうした学術・文化振興にとって重要な施設が含まれていないか、気になるところです。

 そして、ドーンセンター。女性を中心とした利用者の存続を求める声が反映したのか、今回は整理・統廃合ということは免れたようです。しかし、「多機能化」とはいったい、なんなのでしょうか。それは「施設の貸室の回転率を上げる」ということと、どうちがうのでしょうか。ドーンセンターは今までも、女性と男性の多様な暮らしや生き方を応援するために、いろんなとりくみを行なってきた、すでに「多機能」を持った施設ではなかったのでしょうか。

 このように、3月末に新聞記事で報じられた大阪府の府立27施設の整理・統廃合にかかる案というのは、「なぜそうなるのかがよくわからない」という面があります。この案をつくるにあたって参考にしたデータなどももとに、なぜそうしたのかを、大阪府側はきちんと、府民やマスコミ、特に利用者に対して提示して、説明をなすべきでしょうね。

 それから、ついでに、この記事。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200803310127.html

 今までは大阪市政改革に深くコミットしてきた人物が、今後は大阪府政改革にも「特別顧問」としてかかわるとか。また、この人は、「ミュージアムが都市を再生する」というようなタイトルの本も書いたことがあるとか。だとすれば、大阪府が今、整理・統廃合しようとしている各種のミュージアムなどを使って、今後、どういう形で地域活性化にはげむのか。大阪市長選に落選した建築史と「まちづくり」論の専門家とともに、「創造都市・大阪」の建設を府政面からバックアップする方策をぜひ、今の橋下知事にアドバイスしてほしいです。

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