2138冊目はこの本。
笠原十九司『海軍の日中戦争 アジア太平洋戦争への自滅のシナリオ』(平凡社、2015年)
とかくアジア太平洋戦争当時のことでいうと陸軍の問題が指摘されるのだが、日中戦争からアジア太平洋戦争へという戦争の拡大を招いた背景には、日本海軍の動きがあったのではないか・・・という主張の本。この本を読むと、海軍が日中戦争の戦線を華北から揚子江流域の都市部へと拡大したこと、その拡大をきっかけにして陸上攻撃機による渡洋爆撃を行ったこと。さらにはこのような渡洋爆撃が海軍航空隊の拡張を呼び寄せ、それがアジア太平洋戦争当初の航空戦の準備につながったこと。こういうことがわかる。