できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

いろいろ言いたいことがあるのですが(2)

2011-08-06 11:11:50 | 受験・学校

昨日更新して書くはずの予定だったのですが、1日ずれてしまいました。昨日書くつもりだったことを書いておこうと思います。

さて、つい先日、新刊書で、次の本が届きました。

人権教育と市民力―「生きる力」をデザインする― 人権教育と市民力―「生きる力」をデザインする―
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:2011-08-29

この本の第6章「子どもの権利」を、今回、私が書きました。「書いた」というか、講義内容を文字おこししたものに手を加えた、といえばいいでしょうか。

実は、この本、主だった内容は、去年の秋から大阪市内で全10回開催された「国際人権大学院大学プレ講座」の各回の講義内容をふまえて執筆されています。ですから、各章の執筆者は、この各回の講義担当者です。

それで、私は自分の担当回(今年1月17日)に、あえて子どもの権利条約と3回の国連子どもの権利委員会の総括所見(勧告)の概要紹介を中心に講義をしました。だから、読む人が読めば、目新しい内容は一切でてきません。また、『解説教育六法』(三省堂)や『[逐条解説]子どもの権利条約』(喜多明人ほか編、日本評論社)など、教育法関係の文献をちゃんと読めばわかるような、そんな話ばかりしか、私の講義ではしていません。

にもかかわらず、私はあえて今、このレベルの話から、人権教育の関係者には「子どもの人権(権利)」について理解をしなおしてほしい、と考えています。というのも、国連子どもの権利委員会は3回目の総括所見(2010年6月)で、「子どものためにおよび子どもとともに活動しているすべての者(教職員、裁判官、弁護士、法執行官、メディア従事者、公務員およびありとあらゆるレベルの政府職員を含む)を対象とした、子どもの権利を含む人権に関する体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させるよう促す」と、日本政府に対して勧告が行われているからです。また、同様の趣旨のことは、1998年6月の1回目、2004年1月の2回目の両方の総括所見でも言われています。

要するに、「教職員などを対象とした子どもの権利条約や、子どもの人権に関する研修を、今までどれだけ真剣にやってきたんですか?」ということ。そこが日本政府に問われていますし、「政府がやらなければ、自治体レベルでも、教職員の研究団体や教職員組合レベル、あるいは子どもにかかわる各種専門職の団体や市民団体レベルでも、いろいろできたのではないですか?」ということ。それを私としては、この1月の講義のときにも受講生に考えてほしかったですし、今回、講義内容を本にまとめるときにも考えてほしいと思ったのです。

この間、何度もこのブログで書いてきましたが、日本政府の子どもの権利条約の趣旨実現に対する消極的な姿勢は、自公政権から民主党中心の連立政権が発足して少し変わるかと思われましたが、依然として続いているかのように見受けられます。でも、そんな政府のあり方を支えているのは、実は私たち市民の側の子どもの人権に対する意識のありようではないのか。そんなことをこのごろ、私としては強く感じています。市民の側になんらかの働きかけをしない限り、子どもの人権をめぐる状況はなかなかかわらないのではないか・・・・とすら、このところ感じはじめています。

この話、まだまだ言いたいことがありますので、続きは明日以降、書くことにします。


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