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できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

その道の遠さを語るより今・・・・。

2010-07-04 21:26:06 | 学問

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YouTube: ステップ・バイ・ステップ 島田歌穂

今日に限って「なぜ、ユーチューブの動画なの?」と思う人もいるかもしれませんが、私なりの思いあってのことです。

いよいよ、私たちが大阪市内の青少年会館条例廃止後、3年間続けてきた調査研究プロジェクトを終了する時期がきました。今、報告書のとりまとめ作業を行っていて、特に大きな問題などが起こらない限り、今月中にはなんとか仕上がると思います。

それで、いつもながらこの報告書のなかでも、私は「できることを、できる人が、できる形で」ということを強調して書きました。このことは、今、子どもの人権に関するあらゆる活動の場面で求められていることのように思うし、もちろん、青館条例廃止後の大阪市内各地区で、子どもに関する諸活動に取り組んでいる人たちにも言えることのように思います。

なぜ今、ここを強調するのか。そのことの意味が、今日、ユーチューブの動画で紹介する曲の歌詞ともかかわるので、以下のとおり書いておきます。

正直なところ、私はこの何年か、身近なところで行われてきた教育関連の研究には、いろんな意味で違和感を抱くようになってきました。学校や教育をある観点から批判すればそれで終わりのような議論や、既存の教育のあり方を相対化することそれ自体が目的と化したような議論に接するたびに、「だから、その先はどうするんだ?」と思って、イライラすることばかり。教育について、理論的な研究を学界でやっているだけでいい人たちは、そのような議論の枠内にとどまっていれば済むのかもしれない。でも、「あなたたちの議論のその先には、何があるの?」といいたくてしょうがなかったんですよね。

似たようなことは、解放教育や人権教育に関する議論についても言えること。今までの教育のあり方をゆさぶり、相対化する・・・・。あるいは、「今までのつながり方を捉えなおす」とか・・・・。それが「いらない」とまでは思わないのだけど、「で、その先はどうなるの?」といいたくなってしまうんですよね。

そして、そういう今ある教育の相対化や、そこでの人々の関係に対する批判的な検討作業が緻密になればなるほど、だんだん、その緻密な作業でがんじがらめになってしまって、身動きがとれなくなる・・・・。何が今、必要なことで、何が優先的に取り組むべきことなのか、だんだん、わけがわからなくなってくる。

そういう現状に対して、私はだんだん、いらだってくるんですよ。「今、まさに目の前に、何かをやろうとしている人たちがここにいる。その人たちを前に、自分にどんな支援ができるのか、それを考えたいんだ! そんなことを聞いているんじゃないんだ! そんなものを読みたいんじゃないんだ!」って、言いたくなるんですよね。

そんなときに、ふと、今回、ユーチューブからアップした島田歌穂の曲を聴くと、「そうそう!」って思ってしまうわけです。「その道の遠さを語るより、今、歩き出そう」です。

「やってみなきゃ、何かはじめてみなきゃ、わからないってこともあるじゃない?」

たぶん、学校や社会教育・生涯学習の現場の実践者だとか、教育・子育て運動の担い手に求められるのは、研究者が部屋にこもって行うような緻密な理論的詰めの作業よりも、理論化の度合いは少々甘くても、自分たちの生活実感に即しながら、あえて何か子どもたちにとって必要なことにチャレンジしようという、そんな心意気ではないのでしょうか。

だから今、私は子どもの人権に関する活動や、教育運動などにかかわる人には、「その道の遠さを語るより今・・・・」という心意気、それを求めたいと思います。

そして、何かを始めてみて、ほんの少しだけでもいいから前に進んでみてわかること。何かをはじめてからだで感じ取ったこと。それを、自分としては理論的に緻密な作業をしてるつもりが、結果的に思考が同じところでグルグル回っているかのような人たちに、ぜひとも突きつけてほしいと思っています。なにしろ、私たちは「運動」や「活動」に関わっているわけですから。

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