できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

何が指標になっているのだろう?

2008-04-08 11:03:28 | アート・文化

またまた、大阪府の公的施設の整理・再編問題について、コメントをします。どうもここのところ、大阪府知事側の「府立青少年会館」の廃止提案に関して、同じ「青少年会館」つながりで、このブログへのアクセスが増えているようですので。このアクセス数増加は、私にとってはたいへんありがたいことです。なにしろ、私自身は、大阪市・大阪府、さらには大阪府下の各自治体の子ども・若者関連の公的施設の整理・再編の問題は、どの施設についても大事な問題だと思っていますので。

さて、今朝も朝日新聞で、次のような記事が出ていました。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200804070107.html

確か先週の記事では、府立体育会館は整理・再編の対象には入っていないような記事だったように思うのですが、今回は「なみはやドーム」(府立門真スポーツセンター)との再編案があがっています。また、体育会館そのものは「売却」するとのこと。今後、もしもこの案が本当に実施されたら、大相撲の大阪場所はどこでやるんでしょうかね? それとも、いっそ体育会館を相撲協会に買い取ってもらうとか・・・・?

また、子どもの読書離れをなんとかしなくちゃいけないということで、国レベルでも「子どもの読書活動の推進に関する法律」というのが制定され(2001年)、その第4条で各都道府県など「地方公共団体の責務」として、「子どもの読書活動の推進に関する施策」を策定・実施することが求められています。また、主に公共図書館関連の施策充実に向けた取り組みが行なわれることになりますが、「文字・活字文化振興法」(2005年)という法律もできています。

そういう国レベルの法令の趣旨から見ても、大阪府立の国際児童文学館というのは、今後の子どもの読書活動の積極的な推進や文字・活字文化の振興という観点から見て、きわめて重要な拠点施設になるかと思うのですが。

なにしろ、今や京都市内に「国際マンガミュージアム」という施設すら作られ、そこに子どもや若者、親子づれがたくさん集まるようなご時勢。そんな状況で、子どもの文学・子どもの文化に特化したミュージアムが大阪府にあるというのは、先行的な事例であって評価されることであっても、府立図書館と整理・再編するというのは、子どもの文化振興や読書活動の推進という面から見ても、大幅な後退といわざるをえないのですが。

もっとも、これらの読書活動推進や文字・活字文化の振興という観点から、国の図書館関連施策にリンクさせて、府立国際児童文学館を府立図書館分館のような形で存続させるというのであれば、話はまたちがってくると思うのですが。しかし、今、マスメディアで流れている情報は、そういうスジではないですよね。

そんなことから考えても、今の大阪府の公的施設の整理・再編というのは、「いったい、何が指標になっているのだろう?」と思ってしまいます。うがった見方ではあるのですが、もしかしたら人件費や維持費などの経費面での資料を中心に見て、たとえば子どもの文化振興とか文字・活字振興などに関する法令などの面からの検討は後回しになっているのではないか、とすら思えてなりません。

今後も引き続き、大阪府立青少年会館や国際児童文学館など、府の公的施設の整理・再編に関することも、大阪市内の旧青館ほか公的施設の話と同様、情報を集め、私なりの考えを出していきたいと思います。

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