桜子の † 智天使工房 † 

カラーセラピストでメタルスミスの私が歩む日々。
みんながハッピーになれるものを作りたい。

ほろ苦い思ひ出と黒川紀章さん(2)

2007-10-16 00:06:12 | エッセイストsakura
やっと、勉強してみたいと思う道を探し当てて、夏休みが終わるあたりから、私は大方向転換を図るべく動きました。

チューター制をとっていた予備校だったので、担当の先生に私の決意を相談し、もちろん両親にも頭を下げました。
有難いことに、両親は私が決めたことならと、ひと言の反対もせずそのまま黙って勉強させてくれました。

通っていた予備校と目と鼻の先にもう一校老舗の予備校があったのですが、そこには美大受験コースの夜間部があり、私は寮母の先生にも頼み込んで門限を10時にしてもらい、夜も予備校へ通うことになりました。

今になって思えば、マジでワガママ放題の娘のためによくぞ両親が目をつぶっていてくれたなーと感謝感謝ですよ、まったく。

日中の予備校では受験科目を勉強し、夜間コースでは鉛筆デッサン、平面構成,
透明水彩画などのデザイン系の課題の基礎を勉強しました。

時間的にも体力的にも非常にきつかったはずですが、学科の勉強だけでなく絵を描いたりする時間があるということで、実際にはストレスが帳消しになってたような気がします。

そもそも、そういうことが好きだったんですね。

それと、他の寮生の友だちとはまったく系統の違う大学を目指し始めたということで、ライバル意識を持ったり自分と成績を比較したりというストレスが無くなったこともプラスに働きました。

やっと自分が一生懸命になれる目的を見出したとき、私は天神の街中にそびえ立つある建物を意識するようになりました。

75年に建てられた「福岡銀行本店」の建物です。

巨大な黒い直方体の一部をごっそり切り取ったような、広い吹き抜け空間(ピロティ)のある斬新なビルでした。

親からの仕送りは、この福銀の口座に送られておりましたので、私はお金をおろすという口実で、この建物の空間を味わいに行っていたように思います。

これが世界的建築家、黒川紀章という人の作品なんだ。

吹き抜けの中にあるベンチに腰を下ろしながら、そこはこれから飛び込もうとしている世界への大きな憧れのシンボルとなっていきました。

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