角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

口の悪さは仲の良さ。

2014年09月13日 | 実演日記


今日の草履は、埼玉県所沢市からお越しくださったおばさまのオーダー草履です。賑やかな仲良し三人旅で、うちのお二人が同じ配色同じサイズでご注文でした。こうして並べると双子のような草履ですね。
お待たせしました、明日の便で出発いたしま~す(^^)/

草履の送料は、一足発送の場合郵便で全国共通400円です。二足以上の場合都道府県によってクロネコ宅急便と比較するのですが、関東地方までなら宅急便が安くなります。「今日の草履」をご注文のおばさまもその理由で、お一人のお宅へ二足まとめてお送りすることになりました。グループ旅ではよくある話です。そのときのおばさま二人の会話が実に面白く…

『あたしの家に二足送ってもらうわよ。届いたらあなたの家に持って行ってあげるから』

『あらいいわよ、あたしが取りに行くわ。あなたが来るとあたしがお茶出さなきゃならないじゃない!?』

「口の悪さは仲の良さ」ということでしょうね。

今年のお祭りでも多くの同期生たちと出会いました。9月10日のブログに掲載した画像にも、同期生が何人か登場しています。県外に暮らす人のお祭り帰省が何人もいて、町で出会うたびに会話が弾むものでした。仕事の都合で来たくても来られない人も多く、お祭りの画像をスマホ宛てに送ってほしいと頼まれた人もいましたね。

ふと思いました。来年のお祭りでは、同期生と出会うたびに画像に収めたらどうでしょ。それを一覧このブログにアップすることで、リアルタイムの同期生の姿を見せられると思ったわけです。
おそらくそれを見た人たちからは、「老けた」「禿げた」「太った」という評価が多いでしょうね。口の悪さは仲の良さということで…。
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お祭りと若者たち。

2014年09月12日 | 実演日記




今日の草履は、千葉県柏市からお越しくださった男性のオーダー草履です。定番紺の唐草に黄色の無地を組み合わせたタイプで、これまでも何度かご注文でお作りしています。黒と黄色はなかなか相性が良く、互いを引き立たせる要素があると思っています。なにしろカッコいいですね。
奥様用と2足揃って明日の便で出発ですよ~(^^)/

三日間のお休みが明けて第一作が「今日の草履」でした。お祭り前のオーダーがあと少しで編みあがりますから、この分だとこれからのオーダーは一週間程度でお届けできると思います。展示パネルが空っぽの状態は、お客様が残念がる以上に私が嬉しくありません。一日でも早く展示品に届くよう、これからしばらくはお休みを考えず努めて参ります。

角館が熱く燃えるお祭りが終わって三日が経ちました。大置山も曳山も張番も、お祭りを想わせるものは一つ残らず片づけられています。道路に遺されたヤマの通過跡が、三日前までの熱いお祭りを唯一伝えるくらいでしょうか。お祭りが終わって間もなくは、『疲れとれだが~?』が角館人の合言葉のようになっています。それだけ精魂尽き果てるまでエネルギーを注ぐのが、350年続く角館のお祭りなんですね。

東京からお越しのお若い女性ひとり旅。当地へは温泉を目的に訪れたそうですが、交通機関とりわけ電車とバスの乗り継ぎにご苦労されたとのこと。『田沢湖駅で一時間ぼーっと待ったのは予想外でしたぁ。東京に暮らしていると電車を待つことってあんまりないですからぁ』。
お気持ちはよく分かります。でも秋田県の田舎町をわざわざ訪ねるのですから、願わくばある程度時間にゆとりを持ってくださればありがたいとは思います。日常と違う空気を感じるのが旅の良いところ、女性もその点についてはご理解くださいましたね。

女性に角館のお祭りをお話ししました。9月7日の午後4時から始まるお祭りは、8日と9日の早朝を除いて三日間休まず続く説明に目を丸くしていました。しかも最高潮を迎えるのが9日夜半から10日未明とお話しすると、『そんなスゴいお祭りが有名じゃないのはなぜですか?』。
最も訊かれて困るご質問です。

今年のお祭り初日7日の午後、ネットで人気の「ニコニコ町会議」なる番組が角館を会場に開かれました。実は私、この番組のことをなんにも知りません。娘に訊いても私が理解できる返答はなく、そのままお祭り前の時間を過ごしておりました。そして7日の午前11時ころでしたか、山形市からお越しのお若い女性がお立ち寄りです。お祭り見物かと訊いてみると、その「ニコニコ町会議」に参加するため角館を初めて訪れたといいます。

角館のことをいろいろ話し、今日の午後4時から始まるお祭りもかいつまんでご紹介すると、『角館のこともよく知りませんでしたし、そんなお祭りがあるなんてぜんぜん知りませんでしたぁ。番組が終わったらお祭り観て帰りますぅ』。
その日の夕方帰宅途中に番組会場を車で通過してみると、ざっと一千人ほどの参加者がいるじゃありませんかっ。角館のお祭りを観に来た人々ではありません。ネット番組に参加したついでにお祭りも観て行こうかという人々ですよ。

彼女ら若者たちが番組終了後、どのくらいの人数でどのくらいの時間お祭りを楽しんで行ったかは分かりません。でも少なくともゼロではないはずです。特異な性格を持つ角館のお祭りを「面白いっ!」と評価するのは、案外現代の若者たちかもしれません。
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お祭りが終わりました。

2014年09月10日 | 地域の話
九月十日未明、2014年の角館のお祭りが終わりました。私は今朝四時半、踊り子の娘たちは六時半の帰宅でありました。私なんぞはただ酒を飲んで写真を撮って歩くだけですが、ヤマの若衆・囃子方・踊り子・張番関係といった直接かかわるみなさまは、膨大なエネルギーを消費したと思います。一人の町民として心からお疲れ様と申し上げたいです。

このお祭りが終わると角館に本格的な秋がやって来ます。紅葉にかけてまた多くのお客様が訪れるでしょう。明日一日休養した後、十二日から草履実演を再開させます。撮りためた画像を載せ、気持ちの上でもお祭りを終えことといたしましょう。長女と三女も今夜の「あどふき」(慰労会・後夜祭)が今年最後の手踊り披露となります。それにしてもおっさんは年々疲れが残りますね(^_^;)






































































































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明日からお祭りです。

2014年09月06日 | 地域の話
西宮家ではお祭りに「生ビールコーナー」を開設します。場所は米蔵側駐車スペースで、営業日時は八日と九日の18時から22時です。単に生ビールと焼鳥くらいならどこにでもあるのですが、西宮家が他と異なるのは「おつまみメニュー」なんですね。レストランスタッフが手作りする「おつまみ」は、なんといってもクオリティーが違うわけです。そして毎年出される新メニュー、今年は…




「天使のエビ」はその素材を見ましたが、これは期待大ですよ。「タンドリーチキン」は今年入社したばかりの洋食専門スタッフが作りますので、これも楽しみです。八日当日でなければ作らないため画像はありません。その分「想像の翼」を広げてください。三品とも数量限定完売必至です。私も八日18時から生ビールコーナーに居座ります。
草履コーナーの終了時刻は、七日・八日共に16時くらいを予定しています。そして九日~十一日まではお休みとなります。

さていよいよお祭りスタートが明日となりました。近くにある大塚曳山ヤマ小屋から、若衆を呼び集める「寄席囃子」が聞こえています。十八台の曳山はそろそろ前夜祭が始まる時刻ですね。五つの大置山もすべて人形が上がったそうです。明朝写真撮影に出かけてみましょう。
いくつになってもふるさとのお祭りは楽しいものですよ。
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お祭り準備が急ピッチです。

2014年09月05日 | 地域の話
西宮家は米蔵が面する通りを「岩瀬町」といい、反対側にある母屋(正門)が面する通りを「田町上丁」といいます。ご来店経験のある方はご存じの通り、西宮家の敷地は母屋側の通りから米蔵側の通りまでを占めるんですね。これはお祭りにおいてなかなか意味のあることで、この二つの丁内から出される「ヤマ」が異なります。米蔵側の岩瀬町から出されるヤマが「本町通り」、母屋側の田町上丁から出されるヤマが「駅通り」です。その米蔵側のヤマ、本町通り曳山に今日人形が乗りました。






外題は「三湖伝説十和田の決闘」。龍の大きさが感動と驚きでした。実はこの龍、昨年のお祭りで安藤家大置山に飾られた龍なんです。大置山の上ではその大きさが分かりませんでしたが、これだけ近くに見るとそりゃあ迫力でしたよ。安藤家の所在地「下新町」もヤマは本町通りですから、こうした二年越しの登場が叶ったのでしょう。

角館のお祭りに十八台のヤマが出るのはかねてからお伝えしているところですが、ヤマにはすべて正式な「名前」が存在します。まず一般的なのは丁内名に「若者」が付く名です。たとえば「駅前若者」「桜美町若者」「川原町若者」といった具合ですね。例外的なのは「若者」が付かない名前の山が三つ存在するんですね。「本町通り」「中央通り」「七日町」です。

これはヤマを運営する主体の違いで、「若者」が付かない三つのヤマは文字通り「丁内会」そのものが取り仕切ります。対して名前に「若者」が付くヤマは、その丁内に属する「若者会」が運営に当るわけです。省庁が直接関与するのと、外郭団体にまるごと任せるかの違いに似ているでしょうか。
あとは名前に「一同」が付くのも珍しいです。わが家も属し、娘たちが踊り子として乗る「岩瀬若者一同」がそれですね。

わが家の一室はすでに娘二人分の踊り衣装や小物類が並べられ、準備万端整ったようです。踊り子たちの一大披露の場は「佐竹家上覧」、八日のその日をわが家の娘たちも緊張感を持って迎えることになります。角館のお祭りまであと二日となりました。
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お祭りの人形。

2014年09月04日 | 実演日記
五つある大置山のうち二つ目の安藤家大置山に、昨日人形が乗りました。角館を散策されたご経験をお持ちならすぐに思い起こせるでしょう、安藤醸造本店です。こちらは今年十年目の記念となる大置山で、そのクオリティーの高さはこれまでで最高点じゃないでしょうか。今朝写真を撮るため6時30分頃に訪ねたところ、見物人がすでに複数おりました。みなさん楽しみで仕方ないんですね。
















最後の画像「捕方」と他人とは思えない草履がこちらです。




角館のお祭りでは、五つの大置山と十八台の曳山にそれぞれ人形が乗せられます。「歌舞伎場面」と「武将合戦場面」に大別され、その年によって異なりますがほぼ半々くらいでしょうか。歴史上の「○○の合戦」は大河ドラマにも出てきますし、歴史の授業でも少しは習います。でも「歌舞伎場面」はまず馴染みが薄いんじゃないでしょうか。私もほとんど知識はありませんが、お祭りの人形のおかげで多少は興味を覚えさせてくれます。画像の外題説明にもある通り、歌舞伎場面では登場人物の「無念」がよく表れていますね。

お祭りまであと三日となりました。6日の午前までにすべての大置山と曳山に人形が乗ります。角館のお祭りに向けた町の空気は、何度経験してもよいものですよ。
東京からお越しのご家族旅に『あと三日でお祭りだったんですよ』と言うと、『そうみたいですね。知らなかったんですよぉ』。聞き慣らされた言葉とはいえ、いささか「無念」であります。
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ありのままの角館。

2014年09月02日 | 実演日記
夏休みが終わりいつもの生活に戻ったせいもあるのでしょう、散策される人影も幾分寂しくなっています。東京からお越しのご夫婦は、『お祭り前だから静かなんでしょ?』。この時期静かな理由にお祭りは関係ないかと思います。
それでも観光でお越しになる方がゼロということはありません。今日は千葉県柏市からお越しのご夫婦と、沖縄県那覇市からお越しの女性にオーダーを賜りました。ご縁の出会いとご来客の人数は、基本的にあまり関係がないとも思っています。

それでも思うのは、九月上旬に角館を訪れるのなら、なぜお祭りを選んでくださらなかったかですね。先の東京のご夫婦にもそんな話をしてみると、『あんまり人が多いときは遠慮したいよねぇ。お祭り直前だったら準備の雰囲気は愉しめるでしょ!?』。
実は角館のお祭りが観光客で埋め尽くされることはありません。曜日と無関係に日にちで決まっているせいなのか。お祭りの最高潮が深夜に及ぶせいなのか。はたまた単純な宣伝不足なのか。確定的な要因もまた分からないんですよ。

確かにかつては街中が人でごった返していた時代がありました。それは近隣在郷からのお祭り見物であって、いわゆる観光客として角館を訪れた人は昔から少なかったと思います。やがて角館を含む周辺人口が減少し、且つ高齢化が進んだことで見物客が減ったと見るべきでしょう。
角館のお祭りはご来場者に喜んでいただく「イベント」とは異なりますから、それはそれで然るべき結果ともいえる気がします。

ただ私が日々旅人と出会う中には、「ありのままの角館」に期待している方も多いです。迎合ばかりでない「素の角館」とでもいいますか。であればこのお祭りなどは最たるものだと思うんですよ。300有余年続く歴史もさることながら、このお祭りに向ける町民の心はまさに伝統として生き続いています。山鉾・屋台・曳山型のお祭りが好きな方々には、角館のお祭りも期待を裏切ることはないはずです。

五つの大置山のうち、駅前大置山に昨日人形が乗りました。東京のご夫婦がおっしゃるように、お祭りに向けた準備の雰囲気が伝わるでしょうか。












開き直るのではなく、桜まつりのように莫大な広告費をかけて誘客に力を注ぐのはいかがなものかとも思います。こうしたお祭りを好きな人は必ずいるものです。ご縁の出会いとご来客の人数は、基本的にあまり関係がないとも思っています。いよいよあと五日と迫りました。
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角館サポーター。

2014年09月01日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
緑基調に黄金色を組み合わせて「秋」をイメージしてみました。今日から九月、北東北の九月はもう夏ではありません。行く夏を惜しみつつ、また秋に癒しを求める。そんな穏やかであり爽やかな草履に仕上がったと思います。
「今日の草履」は出来上がって間もなく、岩手県からお越しのおばさまがお持ち帰りです。

こちらのおばさまは三年前に還暦のクラス会で角館を訪れ、初めて角館草履をお買い上げでした。『まだ捨てるには惜しいんだけど、せっかく来たから新しいの買っていくわねっ』。経営する居酒屋さんのスタッフさんたちとの旅行で、ほかにお二方からもオーダーを賜りました。やはりお一人でもご愛用者が含まれると説得力が違いますね。居酒屋さんを経営されているだけあって、気風の良さが分かるおばさまでありました。

数人でお越しのグループ旅の中に角館草履のご愛用者が含まれると、その方は実に雄弁です。そういうときは完全に私がアシスタントに変わりますよ。私の説明では売り手のセールストークと解釈される可能性がありますが、ご愛用者の言葉はその点で大きく異なります。岩手県のおばさまも、『あら~、あたしのPRでまた二足売れたわねっ』とご本人も上機嫌でお帰りになりました。

埼玉県からお越しのグループ旅。おじさまとおばさま八名ほどは、七十代後半とお見受けしました。うちのお一人のおばさまが、『先月もここに来たんだけど、みんなに話したら行きたいって言うもんだから…』。みなさんとの様子をうかがっていると、完全に添乗員さんかバスガイド役でしたね。西宮家滞在時間もその後のスケジュールも、おばさまの一言で決まっていました。

こうして角館や角館草履をPRしてくださる方が全国にいてくれたら、そりゃあ心強いですよ。『角館だったらあたしが案内してあげるわよ~』という「角館サポーター」をたくさん作るのは、とても大事な観光政策ではないかと思います。
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