角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

母と娘の泣き笑い。

2014年09月18日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
赤のベースに黄色がよく映えます。メリハリの効いたお洒落な草履に仕上がりましたね。
しばらく続いたオーダー草履も一段落し、これからは即売できる展示品に少しずつ回せると思います。今月25日から大人の休日倶楽部乗り放題チケット期間に入りますから、今よりはお客様が増えるでしょう。少しでも展示品を多くしてお待ちしたいと思っています。

静岡県からお越しの母娘二人旅。二十代後半と思しき娘さんがご自分用を、お母さんは自分をさておき息子さんの草履をオーダーくださいました。息子さんは外反母趾で偏平足なんだそうです。気にしていたお母さんが即決でオーダーを決められました。実演席で日常に見られる「母の愛」ですよ。
お二人とのおしゃべりテーマは、娘さんの職業である「ナース」でありました。

かねてからお伝えの通り、わが家の次女は仙台市で新米ナースとして働いています。その激務は次女の様子を見るだけでおおよそ分かりますよ。先日のお祭りで二日間だけ里帰りしたのですが、また少し痩せていました。中日八日の夕方仙台へ戻った次女は、カミさんとの駅までの徒歩に泣いていたそうです。その時間ヤマの上では姉妹二人が踊っていました。これから面白くなるお祭りを尻目にするのと、また過酷な仕事現場へ戻るツラさが涙になったのでしょう。

先の娘さんは小児専門病院の看護師さんなんだそうです。『子ども相手とはいえタイヘンでしょ?』と訊ねると、『そうですねぇ、どうしてもツラくて泣いて母に電話したのが一度ありましたね』。すかさずお母さんが、『看護師になりたいって聞いたとき、やるなら覚悟を決めないとダメだよって言ったんですよ。それでそういう電話がかけづらかったんじゃないかなぁ…』。
母と娘、互いを思い遣る気持ちがイタいほど伝わりました。

どんな仕事でも最初はタイヘンです。この私でさえ、十九で独り営業に出されたときは胃が痛みましたからね。三人の娘たちに対して、もう何かを手助けするようなことは日常にありません。やがて願うのは、カミさんと娘が笑って旅に出掛けられるその日でしょうか。
コメント (2)
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