今日の草履は、千葉県柏市からお越しくださった男性のオーダー草履です。定番紺の唐草に黄色の無地を組み合わせたタイプで、これまでも何度かご注文でお作りしています。黒と黄色はなかなか相性が良く、互いを引き立たせる要素があると思っています。なにしろカッコいいですね。
奥様用と2足揃って明日の便で出発ですよ~(^^)/
三日間のお休みが明けて第一作が「今日の草履」でした。お祭り前のオーダーがあと少しで編みあがりますから、この分だとこれからのオーダーは一週間程度でお届けできると思います。展示パネルが空っぽの状態は、お客様が残念がる以上に私が嬉しくありません。一日でも早く展示品に届くよう、これからしばらくはお休みを考えず努めて参ります。
角館が熱く燃えるお祭りが終わって三日が経ちました。大置山も曳山も張番も、お祭りを想わせるものは一つ残らず片づけられています。道路に遺されたヤマの通過跡が、三日前までの熱いお祭りを唯一伝えるくらいでしょうか。お祭りが終わって間もなくは、『疲れとれだが~?』が角館人の合言葉のようになっています。それだけ精魂尽き果てるまでエネルギーを注ぐのが、350年続く角館のお祭りなんですね。
東京からお越しのお若い女性ひとり旅。当地へは温泉を目的に訪れたそうですが、交通機関とりわけ電車とバスの乗り継ぎにご苦労されたとのこと。『田沢湖駅で一時間ぼーっと待ったのは予想外でしたぁ。東京に暮らしていると電車を待つことってあんまりないですからぁ』。
お気持ちはよく分かります。でも秋田県の田舎町をわざわざ訪ねるのですから、願わくばある程度時間にゆとりを持ってくださればありがたいとは思います。日常と違う空気を感じるのが旅の良いところ、女性もその点についてはご理解くださいましたね。
女性に角館のお祭りをお話ししました。9月7日の午後4時から始まるお祭りは、8日と9日の早朝を除いて三日間休まず続く説明に目を丸くしていました。しかも最高潮を迎えるのが9日夜半から10日未明とお話しすると、『そんなスゴいお祭りが有名じゃないのはなぜですか?』。
最も訊かれて困るご質問です。
今年のお祭り初日7日の午後、ネットで人気の「ニコニコ町会議」なる番組が角館を会場に開かれました。実は私、この番組のことをなんにも知りません。娘に訊いても私が理解できる返答はなく、そのままお祭り前の時間を過ごしておりました。そして7日の午前11時ころでしたか、山形市からお越しのお若い女性がお立ち寄りです。お祭り見物かと訊いてみると、その「ニコニコ町会議」に参加するため角館を初めて訪れたといいます。
角館のことをいろいろ話し、今日の午後4時から始まるお祭りもかいつまんでご紹介すると、『角館のこともよく知りませんでしたし、そんなお祭りがあるなんてぜんぜん知りませんでしたぁ。番組が終わったらお祭り観て帰りますぅ』。
その日の夕方帰宅途中に番組会場を車で通過してみると、ざっと一千人ほどの参加者がいるじゃありませんかっ。角館のお祭りを観に来た人々ではありません。ネット番組に参加したついでにお祭りも観て行こうかという人々ですよ。
彼女ら若者たちが番組終了後、どのくらいの人数でどのくらいの時間お祭りを楽しんで行ったかは分かりません。でも少なくともゼロではないはずです。特異な性格を持つ角館のお祭りを「面白いっ!」と評価するのは、案外現代の若者たちかもしれません。
時代がグイッと江戸期まで戻った様な錯覚さえありました。
この魅力を言葉にするのは、大変です(笑)。
角館のお祭りを一言で表現するには無理がありますね。
あえて言葉にするとしたら「人生」かもしれません。
最低限のルールの中で、仲間がいたり敵がいたり、
思い描くコースを順調に進むなどまず不可能ですよ。
老若男女がこれだけお祭りに没頭できるのは、やはり
そこに誰もが経験する「人生」があるからですかね。