角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

マラソンランナーと角館草履。

2014年09月20日 | 実演日記




今日の草履は、大仙市大曲にお住いのおばさまのオーダー草履です。こちらの草履はいつものオーダーとは若干異なり、お客様提供の布地を使用しています。浴衣生地の反物があるものの浴衣を作ったところで着る家族はいない、であれば草履に生まれ変わらせようというお考えでの持ち込みでした。
編みあがってみると「ハロウィン」みたいで面白いですね。お渡しするときのおばさまの表情が楽しみです。

兵庫県からお越しのご夫婦旅。草履実演を関心高くご覧くださり、ご夫婦それぞれに未だ少ない在庫からお気に入りをお選びでした。
こちらのご主人は明日開催の田沢湖マラソンに参加されるとのこと。草履のご説明はほぼ奥様がお相手だったのですが、マラソンの話題になった途端ご主人が饒舌になりました。『東日本では秋田県と山形県だけまだ未参加だったんですよ。あと九州を少し残しているだけで、もうすぐ全都道府県制覇ですわ!』。
走るのが大好きなんですね。

ご主人と共にいつもマラソン会場へ出掛けるという奥様は、『その土地の人たちと知り合うって、とても楽しいじゃないですか。毎日同じことばかりしてると滅入ることもありますけど、知らない土地へ行って勇気をもらうこともあるんですよね。今回はこんな草履とも巡り合えたし!』。
私が公開実演にこだわるのはまさにそこが理由です。ご夫婦も私の草履実演をそうした観点からとても評価してくださいました。

角館草履の常連さんの中には、旅行へ持ち歩いている方が複数おります。ご夫婦にもそれをお教えすると、『そうかっ、マラソンにいつも持って歩けばいいんだっ!』とご主人。奥様もすかさず賛同してくれましたね。
42.195㌔を走りぬくフルマラソン。足への負担は私などでは計り知れません。走り終えたあと、土地の温泉に入っての角館草履が足の癒しに役立ってくれることを願うばかりです。

お帰り際にご主人が、『定年したら桜を観に来ますよっ』。お歳をうかがうとあと五年だそうです。五年後の再会を確かにお約束しました。
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