角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

季節はいずこへ。

2009年02月14日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
藍色基調の金魚プリントをベースに、合わせは茶色のいらかプリントです。どちらの布地も比較的落ち着いた色なんですが、赤の金魚プリントが全体を可愛く見せていると思います。平生地はこちらになります。




「今日の草履」を編んでいるとき米蔵スタッフに言われました、『ちょっと季節がズレてない!?』。
プリント柄もそうなんですが、昨日から今日の角館の天候はまさにズレています。昨晩降り出した雨はかなりの量に達し、結局今日一日降り続きました。この二月に大雪ならぬ大雨ですよ。昨晩の火振りかまくらは、さぞ難儀したことでしょう。

今日も何人ものお客様から言われたのは、『いつもはこんなじゃないんでしょ?』。当然のことながら、冬の角館へお越しと言うことはひとつの目的が「雪」なわけです。吹雪はさすがに望んでいないにしても、大雨に流れていく雪灯篭を楽しみにしているワケがありません。

古くから日本人は、「季節」を大事にしてきたと思います。その時季そのときの「旬」があるわけで、やはり二月の今は分厚い防寒着を身にまとい、長靴を履いて外をあるくのが「旬」でしょう。今朝の気温は驚きの二桁、雨さえ降ってなければそれこそ草履で歩けますよ。
麻生首相の口癖じゃないですけど、季節感のない日本は“いかがなものか…”と思いますね。

「今日の草履」は、東京からお越しのお若いカップルがお持ち帰りくださいました。真冬の二月に「金魚草履」をお選びの女性は、まったく問題ございません。

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知名度、まだまだですなぁ。

2009年02月13日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
金色基調の桜並木プリントをベースに、合わせはエンジです。「金色草履」に出来るだけ近い布地を探していて、今日のベース生地に出会いました。桜の美しさが屏風絵を想わせますね。平生地はこちらです。




今日と明日は角館の小正月行事、「火振りかまくら」が行われます。例年はかなり寒さが厳しく、雪の量もピークに達する時期なんですが、今年は相変わらず暖冬傾向が続いています。雪のない「かまくら」っていうのも、なんかヘンですねぇ。

先日のブログでも少し触れましたが、NHK番組で角館が特集されたことと小正月行事が重なったせいか、ここ数日角館を散策される方の人数が多くなっています。一昨日の祝日などは、とても真冬とは思えない数の売れ行きでした。「真冬の草履」、気に入ってくださるお客様には季節の違和感なんてないんですね。

一組のご夫婦へ、『夜は火振りかまくら見物ですかっ?』とお訊ねすると、『えっ!?それってどんなの?』。冬の角館には関心があっても、小正月行事まではご存じない方がとても多いのが分ります。行政も民間も、ホームページ等で結構PRはしているんですけどねぇ。

昨日昼食を摂っているとき、私のケータイが鳴りました。表示された電話番号は「0120」からはじまるフリーダイヤルです。きっとなにかのセールスと思いながらも電話に出てみると、予想通りネットTVかなんかのセールスでした。そういえば最近ひかり電話のプラン変更をした際、オペレーターの女性がそんな話をしていたのを憶えています。

『スイませ~ん、今ケータイに転送で受けてますぅ。仕事中なもんで、電話じゃなくなんか読むモノ送ってくれますぅ?』と言うと、詫びながらわが家の住所確認です。
『アキタケンセンボクシ…、え~と、次はカクカンとお読みするんですか?』。「カクノダテ」を「カクカン」と読むからには、秋田県内の人でないことは間違いありません。草履職人にちょっと悪戯心が芽生えました。
『角館って秋田県の有名な観光地なんですけど、ご存知ありません?』と言うと、『はっ、恐れ入りますぅ、札幌からお電話を差し上げているもので…』。

「角館」の地名さえこのありさま、「火振りかまくら」はさらにまだまだでしょうなぁ。

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女性パワー。

2009年02月10日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
ピンク基調の和柄プリントをベースに、合わせはビンクの流紋プリントです。見るからに華やかな一品、明るい可愛らしさではこのたびの布地仕入れでトップクラスと思います。平生地はこちらです。



2月7日のブログで触れた、ギフトショー内の「石」の話。女性が大勢で商品に群がる姿というのは、テレビなんかで観ることがあります。まぁ、そうした映像を見てどうこうということはないのですが、田舎では極めて異例の光景ですし、私自身がその場にいるなんてことは考えられないです。
行列が出来る旨い店の隣にもし吉野家があれば、まず間違いなくすぐに出てくる牛丼を食べるタイプですから。

新潟市からお越しの女性ふたり旅。先日放送されたNHKの角館映像をご覧になり、『あれを観たら来たくなっちゃってっ!』。
私も少しの時間観ましたが、雪の積もる武家屋敷風景が実に美しく放送されていました。やはり観光誘致の効果があるんですねぇ。

こちらのおふたりがミニ草履を見つけ、『これも可愛いっ、あっこっちも!』。その声を聞いた別のおばさま三人が、揃ってミニ草履の品定めに加わりました。狭いミニ草履コーナーへおばさま五人が集中する姿は、まさに先の「石コーナー」。
結局この勝負に勝ったのは、後から加わったお三人でした。

三人がそれぞれお買い上げになりその場を立ち去ると、新潟からお越しのひとりのおばさまが、『あ~あ、可愛いの持ってかれちゃったぁ』。その声が三人の最後を歩いていたおばさまの耳に届きました。するとおばさま、『あら~、ごめんなさいね~』。こうした場面、草履職人は対応に困ります。

結局新潟市からお越しのおふたりは、ミニ草履をオーダーくださいました。ミニ草履のオーダーは観光シーズン中でも極めて異例です。
お好み配色は「今日の草履」のように明るい色でした。せめてものお詫びに、出来るだけ華やかなミニ草履をお届けしたいと思います。

それにしても、女性のパワーはスゴいもんですね(苦笑)。

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モノは大切に…。

2009年02月09日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
金色基調の菊花プリントをベースに、合わせはエンジです。拡大写真ではベースの金に赤も見えますが、出来上がった草履を少し遠めに見ると、まるで「金色草履」なんですね。このたびの東京仕入れに目指したのは、ひとつにこの金色草履を編むための布地だったんです。「神々しい草履」、なんだか拝みたくなりますね。
平生地はこちらです。



八日ぶりの実演再開、これだけ日が開くといつもの実演がちょっと新鮮に思えますね。明日あたりから当地では冬祭りが相次ぎます。そのせいもあるんでしょうか、真冬の平日にしてはお客様の姿が多く感じられました。晴れとまでは言えないにしても、気温も高めでこの時季としては散策日和でしょう。

東京からお越しのご夫婦旅、そろそろご定年といった年代でしょうか。始めにご主人が入って見え、『あ~、草履だぁ』。続いて奥様もお見えになってしばし眺めてお出ででした。間もなくご主人は米蔵の中へ、奥様はその後もしばらく私と草履談義に花を咲かせていました。

やがて奥様も米蔵に入って行くと、間もなくご主人ひとりが実演席へ戻ってみえました。おもむろに試し履き草履で履き心地を確認すると、『26cmは出てるだけかな?』。
関心をお示しなのは奥様のほうでしたから、ご主人がご自分用をお求めになるのはちょっと意外でした。その理由は、間もなくお戻りになった奥様の言葉で知ることになります。

『お父さん、ビニールで出来たイ草風のスリッパを履いてるんだけど、ほつれたところを自分で直して履いてるの。あたしの分は我慢して、今日はお父さんのだけねっ』。
おそらく奥様がご主人のあとを追ったのは、好きな草履を選ばせてあげるためだったんでしょう。配色選びをするご主人の笑顔がとっても良かったです。

奥様からそのお話を聞いて、おもわずご主人へ『モノ持ちがイイですねっ』とお声をかけました。スリッパを修理してまで履く男性、私は尊敬しますよ。
世の中使い捨てばかりが流行る時代、手をかければまだまだ使えるモノさえ棄てられます。スリッパひとつとは言え、修理するのはゴミを減らす工夫にもなりますしね。

年末のこと、除雪機の調子が悪くて知人の業者に修理を頼んだところ、『この機械だと、部品はもう手に入らねぇんシよぉ』と言われました。古いのは充分認識しているとは言え、メーカーの部品替えは「モノを大切に…」の心に反しているといつも思います。
でもこちらの知人、互換性のある部品を探し当て、元通り使えるように仕上げてくれました。

「モノを大切に…」の心は、その人の“やる気”が大きいように思います。

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東京旅日記。

2009年02月07日 | 製作日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
淡い紫基調の花柄プリントをベースに、エンジを合わせた配色Ⅱパターンです。先日、紫は好き嫌いが分かれるというお話を書きましたが、こうした淡い色調ですと優しさが感じられると思います。少し小さめの22cm、小柄で優しいお母さんにいかがでしょう。

少し久しぶりの投稿となりました。二月に入ってはじめてですかっ、ちょっとサボり過ぎましたねぇ。
実演やブログをお休みしていると言っても、遊んでいるわけではありません。今月3日と4日、およそ七年ぶりの東京へ行ってきました。

まずひとつの目的は、1月13日のブログに綴っている通り、加盟する角館あきんど塾の事業で「東京インターナショナルギフトショー」を訪ねてきました。七年ぶりのギフトショーは、相変わらずの盛況です。一コマ数十万円の費用を負担し出展する企業は2000社以上、コマ数で4000以上と云います。
世の中不況の嵐が吹きまくっていますが、そういう時代だからこそ出展商社は新規顧客を求め、また全国の業者も新製品を求めて集まるんでしょうね。

過去のギフトショーと若干変わったと思ったのは、即売する商社さんが結構いましたね。かつては「有償サンプル」に限られていたと思うのですが、特に装身具の「石」を扱う商社さんの店頭は、さながら「バーゲンセール」の様相です。サンプルとして買っているのか、はたまたどなたかへのお土産なのか。いずれかつてはなかった光景と思います。

二日目4日は、念願の日暮里繊維街へと繰り出しました。いつも日暮里で生地探しをしてくれている東京の仕入れ部長にご案内役をお願いし、二時間以上ビッシリと生地探しに明け暮れました。いやぁ、噂以上ですね、日暮里繊維街。最後はキリがないのでやめたっていう感じですかね。
最新の布地は、あさって月曜日からの実演が使い初めです。早速月曜日の「今日の草履」からご紹介しますので、ぜひお楽しみにっ!

実は久しぶりの東京で一番強く感じたのは、わが身の体力不足です。ギフトショーは、会場のビッグサイト全館を使っています。これを歩き通すだけでも普段にはない運動量のうえに、翌日は日暮里仕入れのあと浅草へ行ってみました。過去に東京は幾度となく行っているのですが、当然ながらいつも仕事です。浅草寺界隈をゆっくり見て回ることがなかったんですね。
二日目は自由行動、ひとり旅の良さはこんなところにもあるわけです。

東京旅日記の締めくくりは、『疲れだぁ』ですかね。

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