角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

明日の命。

2014年10月10日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22m土踏まず付き[四阡四百円]
届いたばかりの新柄の中に、紫基調の桜プリントが入っていました。まずは同系色の紫無地を組み合わせています。facebookでは朝ドラに因んで「相武紗季さん風」とご紹介したところでしたが、案外そう見えるから不思議なものです。いずれにしても可愛らしい草履に仕上がりました。
平生地はこちらです。




五十代と思しき男性が真っ直ぐ実演席を訪れ、『24cmで女性用はありますか?』。最近お会いしているような気がしながら、ちょうど編んだばかりの定番配色③の「赤の唐草にエンジ」をご紹介すると、『あっ、じゃあそれをお願いします。昨日試してみたら良かったので、家内に買ってあげようと思いまして…』。
最近お会いしたのは昨日のことでした。確かにお一人で見えて試し履きをされましたね。『お住いはどちらですか?』とお訊ねしたところで、思わぬ角館滞在の経緯を聞かされることになります。

『横浜なんですが、家内も一緒に玉川温泉に来ていたんです。そしたら家内が急に腹痛を訴えて救急車で運ばれて、胃潰瘍から出血で大騒ぎになっちゃって…。まだ角館病院に入院しているんですよ』。
当地を旅している最中に急病や不慮の事故に見舞われ、角館病院へ入院したという人を過去に複数知っています。なにも旅の途中に…と思いながら、人生は何が起こって不思議ではありません。

一昨日のこと、思いも寄らない訃報に接しました。私より一つ年下の男性が、脳幹出血で急逝の報せです。日ごろに酒を酌み交わす関係ではなかったものの、仕事の付き合いがありました。なにしろ小さな町の一つ違いですから、顔も人柄もよく知っています。三週間ほど前に同期の無尽で飲んだという友人の話では、確かに若干の不調は訴えていたものの、まさかこのようになるとは思ってもいなかったそうです。

「人の明日は分からない」とは、まずみんなが感じていることだと思います。だからこそその日その日を出来る限りムダにしないようにと、一定の年齢に達すれば考えるのでしょう。元気で暮らしている今、ときに旅へ出たり美味しい食事を愉しんだりは普通に考えることです。横浜市のご夫婦も、そんな想いがあって当地の温泉を訪ねたんじゃないでしょうか。救いなのは、あと数日で退院できるということですね。

それにしても五十歳の急逝は聞くほうも辛いです。ご遺族もよく存じ上げている方々ですから、慎んでご冥福をお祈りしたいと存じます。
コメント (2)
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