今日の草履は、仙台市のおばさまのオーダー草履です。茶の唐草をベースにピンクのシーチングを組み合わせたものですが、このたびご注文にならなければ思いつかなかった配色と感じました。「ご売約品」の札を提げて飾っておりましたところ、岡山県からお越しのおばさまも『あたしもこの色がいいわっ!』。
私の配色センスはまだまだ幅が狭いことを痛感した次第です。今後はもう少し「サプライズ的」な色使いに挑戦すべきでしょう。
角館草履のプレゼントに際して、この「サプライズ」がたびたびあります。先回15日の「今日の草履」も奥様への誕生日にサプライズでした。ご主人が草履をお引き取りに見えたときおっしゃるのは、『実はカミさんをちょっと怒らせてしまってて、この草履が頼みの綱なんですよぉ』。
そしていよいよ誕生日当日、やはり朝からご機嫌斜めの奥様。そこへご主人が『誕生日おめでとう。これプレゼント!』と渡した草履を見た奥様の顔は、みるみるうちに笑顔に変わったそうです。その後の家事は一転鼻歌まじりだったとか。贈り主のご主人から届いたメールを読み、私も嬉しくて仕方ありませんでしたね。サプライズが見事に成功した例でしょう。
先日のこと、西宮家母屋で食事を済ませた兵庫県のご一行様がお立ち寄りでした。一人のおじさまが、『女房がまだメシ食ってるうちに女房の草履を注文しますわ。びっくりさせてやりますよっ』。まさに「サプライズプレゼント」ですね。
奥様の靴サイズをお訊ねすると、『たしか23.5やったと思うんですけどねぇ』。中肉中背といいますから、これまでの経験則を元に23cm草履でよいと判断しました。
ご注文書を書き始め30秒も経ったでしょうか、ご一行の中にいたひとりのおばさまが、『23.5だそうですよ。あたし今訊いてきましたからっ』。
どうやらこちらのおばさまは「サプライズ」をご存じなかったようです。おそらくどんな場面でも気の利くおばさまなのでしょう。サプライズは叶わなくとも、足の癒し効果は変わらないことでご理解をいただきましょうか。