角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

一丁目一番地。

2014年05月27日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き[五阡円]
奇をてらわない田舎らしい素朴な配色です。角館を旅の目的地とする方に、ギラギラ光るネオン街を期待する人などいないでしょう。そういう意味ではむしろ角館草履らしい配色かもしれません。「今日の草履」は埼玉県からお越しのおばさまが、ご主人へのお土産にとお持ち帰りくださいました。

「一丁目一番地」という言葉をときどき聞きます。主に政治家の言葉で、「最優先課題」や「目玉政策」といった意味で使われるでしょうか。比較的新しい言葉と思って少し調べてみたら、政界や中央省庁ではかなり昔から使われているんだそうです。そもそもは当選回数の少ない若手議員が座る演壇に近い国会席を指し、「おろそかにできない物事のスタート地点」を言ったものでした。

私の実演席でも「一丁目一番地」の言葉をときどき使っています。それは足の健康に対する「五本指ソックス」のことなんですね。『足の健康を考えるなら、五本指ソックスが一丁目一番地ですよっ』といった具合でしょうか。室内草履に関心の高い人は、かなりの割合で五本指ソックスを利用しています。家庭レベルではなにほど珍しいことではなくなりましたが、職場レベルで利用しているお話を今年の桜まつりで初めて聞きました。それは「動物園」なんですね。

どちらからいらしたおばさまだったか失念してしまったのですが、動物園で事務職をされているそうです。『うちの飼育係は、全員五本指ソックスを履くことに決められているんです』とおばさま。草履であれ長靴であれ、指が五本離れていることが動きの「機敏性」や「安全性」につながるのでしょう。こちらのおばさまもこの日から角館草履のご愛用者となりました。

「今日の草履」をお持ち帰りのご家族は、女性三代の三人旅です。角館草履をずいぶん気に入ってくださり、三十分ほども実演席に滞在されましたか。ひとしきりおしゃべりが終わると真ん中の年代のおばさまが、『それにしても、この町の人っていろんなお話をしてくれますね。駅からここまでくる間もいろんなお話を聞きましたよ』。
おもてなしの「一丁目一番地」はお声掛けと思っています。多くの旅人は地元民と触れ合うことで思い出作りをしますから、ご希望であれば時間の許す限りお話しするのは大事なことじゃないでしょうか。
身内びいきと言われるかもしれませんが、この点についての角館は、「一丁目一番地」をすでに通り過ぎたものと思っています。
コメント
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