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角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

遥か彼方への関心。

2012年09月26日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
昨日日暮里から届いたばかりの「秋の新柄」。早速の第一弾は、黒地にカラフルな桜プリントです。黒ベースですから、まずはセオリー通りのエンジを組み合わせてみました。お洒落感が際立つ草履になりましたね。
桜と共に、縁起ものの招き猫が可愛い平生地がこちらです。



「今日の草履」は編みあがってすぐ、山口県からお越しのおばさまがお持ち帰りです。未だ展示パネルにたくさんの草履はありませんから、これから編む新柄草履も「縁ある出会い」となるでしょう。今後しばらくの「今日の草履」は、秋の新柄をご紹介します。

山口県からお越しのおばさまは、ツアーをご利用でした。私が、『また寄ってください…と言うには遠すぎますね』と笑うと、『もう来られるかわかりませんよ』とおばさま。その会話を傍で聞いていた別のおばさまが、『私は長崎からよ』。
今さらながら、ほんとに全国からお出でくださっていますね。

昨日ツアーでお越しのおばさまグループに、『どちらからお越しです?』と訊いてみると、『唐津から来ましたぁ』。私が、『いや~、九州は遠いですよねっ』と言うとひとりのおばさまが、『あらっ、唐津が九州って知ってるの?』。
すかさず私が『佐賀県の唐津は有名じゃないですかっ』と言うと、おばさまたちはとても喜んでくれました。

実はここまでの旅で、唐津が佐賀県とすぐ理解した東北人が少なかったそうです。それはきっとたまたまのことでしょうが、確かに東北と九州では馴染みが薄いわけです。
東北人の擁護じゃないですが、『東北六県の位置が分からない九州の人もいましたからね』と言うと、ひとりのおばさまが右手を高々と上げて、『は~い、私もその一人で~す』。皆で大笑いしました。

数日前のこと、新潟市からお越しのご夫婦とおしゃべりしました。次の目的地を訊いてみると、『石巻へ行ってみようと思ってるんです』とご主人。その目的は、「津波被災地を自分の目で見ること」なんですね。

震災から間もなくは、物見遊山的訪問に批判が続出したものです。確かに好奇心や野次馬根性だけで出向く輩がいました。それがやがて復興を唱える時期を迎えると、被災自治体はむしろ積極的に『来てください、見てください』と言うようになりました。「忘れられたくない」というのが大きな理由でしょう。

新潟市のご夫婦の言葉からも、自分の目で見て記憶に残すという趣旨が、はっきり伝わるものでした。被災地を訪ね、現況を見聞きし、現地でいくばくかのお金を使う。これが被災地の願いであり、希望なのだと思います。そしてこれを、日本人の多くが理解しているものと思っていました。

それが先日の新聞記事を見て、少々驚かされました。旅行についての意識調査なんですが、「被災地に今行くのは控えたほうが良い」と感じている日本人が、30%以上もいるんですね。理由として「ボランティア活動をしないならあまり意味がない」、「復興途上の今はまだ早い」などが挙げられていました。

個人的な推測であり、なんら根拠はありません。その上で、この30%の多くは東北から離れた地域じゃないですかね。善し悪しは別にして、親戚や友人のいない土地の話は、なかなか関心が高まらないのも無理がないでしょう。

北九州市の市民団体が、被災地のがれきを受け入れたことに対し、北九州市と宮城県を相手に訴訟を起こした話を聞きました。語弊を覚悟で、あの津波被災地を自身の目で見た人間なら、宮城県を相手に訴訟を起こすという行為は躊躇されると思うんですがね。

人様の行為にとやかく言うつもりはありません。秋田県から遥か遠くの沖縄県。オスプレイ配備問題も、出来るだけ関心を持っていたいと思います。
コメント
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