明日(3日)、東京国際ギターコンクールの本選が開催されるのだが、11月下旬までマンドリン合奏のことで頭がいっぱいで、すっかり忘れていた。
今朝チケット情報を確認したらすでに完売だった。(残念)
ちなみに今年の本選課題曲は、伊福部昭作曲の「ギターのためのトッカータ」(外国人がどのような演奏をするか興味深いところだ)。
会場が白寿ホールに変わってから、席数がかなり減少したため、当日券で聴きにいくことは出来なくなった。
東京文化会館小ホールや日経ホールでやっていた頃は当日券で余裕で座れたのに。
白寿ホールのような小さなホールの方が響きがいいのかもしれないが、将来世界的プロを目指す方々のことを考えると、もっと大きなホールで審査する方が良いと思うのだが。観客だって一人でも多くの方が聴きに行きたいと思っているだろうし。
白寿ホールに変更になってから審査員も大幅に入れ変わった。
今日は久しぶりに睡眠を長くとった。
このところ5時間未満睡眠が続いていたので、日中何度も睡魔に襲われた。
これは絶対に良くない。睡眠時間が短いと体にも悪いし、脳にとっても良くない。すなわち、集中力の欠如、記憶力の減衰、直感力、創造力の鈍化、忍耐力の低下など、さばざまな影響を及ぼす。
明日もゆっくり寝ていよう。
今日は、千葉マンドリンクラブの部内発表会の曲を練習し、後の時間は久しぶりにいつも独奏曲をたくさん録音してみた。
先日、古いギター雑誌で、「「美しい音を生むタッチについて」という特集記事を見つけたので読んでみたら、次のような10項目の条件が提示されていた。
<理想のタッチを得る条件>
①自分によく合った最高のギターをもつこと。
②高めの足台とギターによく適したよい弦であること。
③よい助言者、優れた教育機器教材、鏡などを持つこと。
④身体全体が自然で正しい姿勢であること。
⑤右手の重心、弾く位置がノーマルなこと。
⑥pimaの各指が独立性を養えるトレーニングを積んでいること。
⑦p指はあらゆる種類のアポヤンドが可能なこと。
⑧各指の爪は短めで正しい手入れ法を知り、深めのタッチができること。
⑨imaは左端の先端で弦を巻き込むようにタッチが出来ること(回転運動が含まれること)。
⑩右手全体にムダな力が加わらなくて移動性に富むこと(瞬間にエネルギーは効果的に出される)。
1975年の記事なので、今現在の考え方からすると違和感を持たれることもあるかもしれないが、どうだろう。
私にとっては、美しい音を生むタッチに古いも新しいもない、というのが正解のような気がする。
①から順に考えていきたい。
①自分によく合った最高のギターをもつこと。
これはとても重要な要素だと思う。
とくに、ギターという楽器は製作者によって音の個性が驚くほど異なる。
自分に最高に合う楽器がどの製作家の楽器なのか分かるには長い年月と数多くの楽器を試奏することが必要だ。
私の場合、このところでやっと自分に合う楽器が分かってきた、という実感がある。
まずは、よく歌う楽器であること。
そして、低音弦は深い、重いといった音ではなく、鋼を打ったようなゴーンとよく響く、どちらかというと力強い音が好みであること。
高音は透明度が高く(木質系ではない)、のびがあり甘く柔らかい音。同時に芯のある音。
和音は雄大な感じの響きを実現できること。
これらを概ね実現出来る楽器として、今はホセ・ラミレスⅢ世による楽器をメインに使っている。
ホセ・ラミレスⅢ世は名工中の名工であることは言うまでもなく、セゴビアやイエペスなどのトップギタリストが使用したことでも知られているが、価格も比較的安価で数も多いので入手しやすい。
しかし意外に現在では使用する人は昔に比べれば減少しているようだ。クラシックギターの製作家が故人も含めてかなりの数にのぼり、選択肢が増えてきたためであろう。
和音の響きは確かに雄大だ。学生時代にたまたま聴いたラジオで山下和仁さんがホセ・ラミレスⅢ世の楽器を好んで使用する理由として、音が雄大だからと言っていたのを今でも覚えている。
楽器の選択にあたって、製作家のネームバリューで決める方がいるかもしれないが、有名な製作家だから自分にとってのいい音が得られるということはない。
まずは、自分が「どんな音が好きなのか」ということが分かっていることが最も大事なことだ。
あとはどんな名工の楽器であっても、全ての自分の求めるものを満足させることの出来る楽器というものは無いということだ。
完璧を求めると、際限なくギターを買い替えることになるに違いない。逆にそれは本当の自分の求める音が分かっていないからなのかもしれない。
③は出来れば優れた先生に就いて習うことがベストだろう。
私も近いうちにいい先生を見つけて半年くらいの限定期間で習おうかと思っている(西村洋さんが今でもご存命だったらな~)。
あとは、生の音を出来るだけ忠実に再現できる録音機材で自分の演奏を録音して客観的に聴いてみる。電気処理など絶対してはいけない。
これは結構有効だと思う。私もこれをやっている。
録音しながら演奏すると、緊張で夥しい発汗と腕、肩、指などに余計な力が入る。間違ってはいけないというプレッシャーを自ら課しているからだ。
プレッシャーを感じながら演奏することは非常に辛い。演奏していて様々な雑念が湧き出てくる。正直早く片付いて欲しいとまで感じてしまう。
こんな心理状態でいい演奏ができるわけがない。だからこそ、録音機をまわして本番に少しでも近い環境で演奏して自分の問題点を把握できるようにしたいのである。
緊張状態だと、余計な力が不必要な部位に入るため、音自体も軽く力の無いものになりやすい。
自分のベストな状態で本番でも演奏できるようになるためには、メンタル面での内観、分析が必要だ。
昨日書いた記事のように、まずは演奏時の現状の自分自身の心理状態をあるがままに受け入れ、肯定していくことがスタートだと思う。このスタートを間違うといつまでたっても本番で苦痛を味わうことになるのではないだろうか。
今日、手に夥しい汗をかき、肩や腕や指に力が入った状態(これがなかなか弱まっていかないのだが)での演奏を録音してみた。
正直演奏中は苦しいと感じている出来のものだ。
①アラビア風奇想曲(1回目) 2023年12月2日夕方
②アラビア風奇想曲(2回目) 2023年12月2日夕方
③アルハンブラ宮殿の思い出(1回目) 2023年12月2日夜
④アルハンブラ宮殿の思い出(2回目) 2023年12月2日夜
⑤スペイン舞曲第5番アンダルーサ 2023年12月2日夜
落ち着いていたらもっと、変化のある表現が出来るとは思うが、なかなかこれが実現が難しい。