緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

アランフェス協奏曲を聴く (1) トゥリビオ・サントス(1967年)

2012-04-28 00:10:26 | ギター
こんにちは。
明日から連休です。ギター三昧の日々をやっと過ごせそうです。
これからギター協奏曲の名曲、ホアキン・ロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」の録音
で、私が今まで30年以上にわたり集めてきたLPやCD全てについて、その演奏の感想
などを不定期であるが述べていきたいと思います。
今まで多くの録音を聴いてきましたが、本当に素晴らしいと言える演奏は数えるほどしか
ないですね。全ての録音について感想を述べた後に、ベストの演奏を5つほど選んでみた
いと考えております。
感想は良くも悪くも正直に感じたことを述べたい。紹介する録音の順番はランダムですが
、同一奏者で複数の録音がある場合はなるべく連続して投稿するようにしたい。
さて第1回目は、ギター:トゥリビオ・サントス(1943年ブラジル生まれ)、ローランド
・ドゥアット指揮、パリ・コレギアム ムジクム(訳が変?)の1967年の録音です。



サントスが24歳の時の録音。10年後にエラートでも録音を残していますが、こちら
の方は後日紹介することにしたい。
アランフェス協奏曲の録音の中には、ギターの音量とオーケストラの音量とのバランス
が悪く、ギターの音が小さすぎるものがあるのですが、このサントスの演奏はギターの
音は大きい方です。
サントスの音は全体的な印象は軽いのですが、時折力のある強い音を出します。この強く
鋭いタッチでの音がサントスの魅力です。
ただ速いパッセージや連続するラスゲアードはあまり得意でないようだ。特に速いパッセ
ージでは音が小さくなる傾向があります。もしこの速く弾けるテクニックを身に着けてい
たならば、サントスは第一級の奏者と認められたのではないか。
第1楽章途中、下記譜面の部分は弾くのを省略していますが、あまり感心しない。あえて
意味があって弾いていないのだと思うが、原曲どおり弾いて欲しいものだ。



第一楽章の難所であり、最も聴き応えのある下記部分のサントスの演奏は、ややもたつ
くが、まずまず安定したテクニックに弾いています。ただこのようなパッセージになる
と音が小さくなるんですね。



第1楽章最後のトランペットの音がずれていたが、これは良くない。
次に第2楽章。
イングリッシュ・ホルンの演奏はなかなかいいです。
続いてギターがあの有名な哀愁のあるメロディを奏でていくのですが、テンポが遅すぎ
で、全体的に音が弱い。もう少し歯切れの良さ、強いアクセントのある音が欲しい。
テンポが遅い上にテヌートを多用しているので、緊張感に欠け、曲の全体象が理解しに
くく、ぼやけてしまっているのは残念です。



カデンツア直前の下記部分の演奏を省略しているが、これも第一楽章の先述の箇所と同様
、あまり感心しない。省略しない演奏した方が演奏効果があると思うのだが。



またカデンツア直前のファゴットの間延びした曲の流れを台無しにする演奏は興ざめだ。
カデンツアの演奏は、テンポは遅いが確実なテクニックで弾いており、音も明瞭です。
ただ音を強調しすぎる箇所があります。
カデンツア最後のクライマックスの箇所、下記譜面のラスゲアードはかき鳴らしの往復
が少なく歯切れが悪い。



カデンツアの後のオーケストラの演奏はなかなか良いのですが、最後のファゴットとクラ
リネットのテンポが崩れてしまったのが残念。

続いて第3楽章。
ギターの音が大きく力強く、オーケストラの音量に負けていません。オーケストラの音量
とのバランスは素晴らしいと思う。
時折出す音のアクセントの付け方も違和感がなく、速いパッセージの部分も何とかテンポ
に付いてっている。
トランペットと交互に演奏される高音の和音の部分は力強く切れの良い音で、サントス
の力量を最も感じさせる箇所だ。
第3楽章終わりの上昇スケールの直前に奏される金管楽器の音が強すぎなのが気になる。

以上かなり辛口のコメントとなってしまいましたが、サントスの演奏は個人的には好き
な方で、レコードもかなりの数を聴いてきました。
このアランフェスの録音で最も聴き応えのあるのが第3楽章で、この曲を演奏する人に
とって参考となるものは多いと思います。
この録音の10年後にフランスのエラートで再録しますが、サントスの演奏はかなり変化
しています。
これについては後日紹介したいと思います。


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