だいぶ以前にも記事にしたことがあったが、私が中学1年生でクラシックギターにのめり込むきっかけとなり、また決定的に私を音楽好きにさせたある1枚のレコードがある。
軽音楽 禁じられた遊び -みんなでうたおう世界の歌ー
演奏:寺島尚彦とリズム・シャンソネット・プラス・アルファ
キングレコード 1966年
家においたあった古いレコードだ。
私が幼稚園にあがる前に家で日曜日の朝にかかっていたレコード。
ステレオの前でふざけて飛び跳ねて、針が飛んだことで傷だらけとなったレコードをたまたま偶然、中学1年の冬に聴いてとりこになった。
このレコードの音をステレオのスピーカーから直接カセットテープに録音して何度聴いただろう。
本当に素晴らしい演奏、素晴らしいアレンジだった。
今聴いてもその感じ方は全く変わっていない。
この演奏、音楽を聴いてどれほど音楽に目覚めていったか。
今から10年くらい前だろうか。以前に実家から送ってもたったこのレコードが傷だらけだったので、中古で同じレコードが出ていないだろうかと探していたが、ほどなくしてヤフオクで出品されているのを見つけ落札した。
このレコードの存在を誰も知らないのか、安値だったと記憶している。
そしてしばらくして、寺島尚彦という音楽家のことを調べるようになった。
そして寺島尚彦が作詞作曲した曲として、「さとうきび畑」という曲があるのを知った。
失礼ながらもう忘れられた存在の音楽家というイメージしか持っていなかったのが、この曲が意外にも有名であることを知った。
そしてこの曲を聴きたくなり、アマゾンで寺島尚彦の次女の寺島夕紗子が歌った演奏CDを見つけ注文した。
今からちょうど10年前のことだった。
2010年の8月、大阪方面のギターショップめぐりの旅にこのCDを持って行った。
大阪行きの新幹線に夕方乗車し、退屈しのぎにこの買ったばかりの「さとうきび畑」というCDを聴いてみることにした。
これから未知の見聞をする旅の道中に聴くにふさわしい、明るく穏やかなBGMに聴こえた。
たまにこういう音楽もいいな、という気持ちで聴いていた。
しかしである。途中から思いもよらぬ「え?何で?」という変化を感じた。
知らないうちに、目頭が熱くなってどうしようもなくなっていた。
気が付いた時には、周りに気付かれないように苦し紛れに取り繕うはめになってしまっていた。
これがこの時、この曲を初めて聴いた時の衝撃だった。
その後、この曲が多くの歌手に歌われていることを知った。
今、Youtubeでは森山良子をはじめ、たくさんの演奏が投稿されている。
寺島夕紗子の演奏は正統的な声楽によるものであるから、Youtubeなどで聴く演奏に慣れた方が聴くと違和感を感じるかもしれない。
しかし私は寺島夕紗子の演奏が一番好きだし、最も感動する。素晴らしい演奏だ。
演奏法とかそういうものを通り越した、一人の人間の強く熱い気持ちを感じる。
この寺島夕紗子の演奏は、部分的に選んだショートバージョンではなく、全ての詩を歌ったフルバージョンである。
はっきり言って、ショートバージョンは意味がない。
作曲者自身もこう言っている。
「戦争の悲惨さを伝えるために、「さわわ」という言葉と、10分という長さをこの歌は必要とした」
寺島夕紗子の演奏はYoutubeに投稿されていない。
今日、ニコニコ動画で見つけた。
是非、聴いて欲しい。人間の思いの強さ、というものがこれほどまでのものなのか、ということが感じられるに違ない。
寺島夕紗子(てらしま・ゆさこ)
ソプラノ歌手
雙葉高等学校卒業。東京藝術大学及び同大学院修了。文化庁在外研修員としてスペインで研鑽を積む。国内外での演奏活動のほか、NHKはじめ全国のテレビ、ラジオ番組にも多数出演。父・寺島尚彦作「さとうきび畑」「緑陰」等3枚のCDをリリース。また書籍、新聞、雑誌への執筆活動も展開。洗足学園音楽大学講師。
(論座 RONZA 2019年6月23日記事より引用)
軽音楽 禁じられた遊び -みんなでうたおう世界の歌ー
演奏:寺島尚彦とリズム・シャンソネット・プラス・アルファ
キングレコード 1966年
家においたあった古いレコードだ。
私が幼稚園にあがる前に家で日曜日の朝にかかっていたレコード。
ステレオの前でふざけて飛び跳ねて、針が飛んだことで傷だらけとなったレコードをたまたま偶然、中学1年の冬に聴いてとりこになった。
このレコードの音をステレオのスピーカーから直接カセットテープに録音して何度聴いただろう。
本当に素晴らしい演奏、素晴らしいアレンジだった。
今聴いてもその感じ方は全く変わっていない。
この演奏、音楽を聴いてどれほど音楽に目覚めていったか。
今から10年くらい前だろうか。以前に実家から送ってもたったこのレコードが傷だらけだったので、中古で同じレコードが出ていないだろうかと探していたが、ほどなくしてヤフオクで出品されているのを見つけ落札した。
このレコードの存在を誰も知らないのか、安値だったと記憶している。
そしてしばらくして、寺島尚彦という音楽家のことを調べるようになった。
そして寺島尚彦が作詞作曲した曲として、「さとうきび畑」という曲があるのを知った。
失礼ながらもう忘れられた存在の音楽家というイメージしか持っていなかったのが、この曲が意外にも有名であることを知った。
そしてこの曲を聴きたくなり、アマゾンで寺島尚彦の次女の寺島夕紗子が歌った演奏CDを見つけ注文した。
今からちょうど10年前のことだった。
2010年の8月、大阪方面のギターショップめぐりの旅にこのCDを持って行った。
大阪行きの新幹線に夕方乗車し、退屈しのぎにこの買ったばかりの「さとうきび畑」というCDを聴いてみることにした。
これから未知の見聞をする旅の道中に聴くにふさわしい、明るく穏やかなBGMに聴こえた。
たまにこういう音楽もいいな、という気持ちで聴いていた。
しかしである。途中から思いもよらぬ「え?何で?」という変化を感じた。
知らないうちに、目頭が熱くなってどうしようもなくなっていた。
気が付いた時には、周りに気付かれないように苦し紛れに取り繕うはめになってしまっていた。
これがこの時、この曲を初めて聴いた時の衝撃だった。
その後、この曲が多くの歌手に歌われていることを知った。
今、Youtubeでは森山良子をはじめ、たくさんの演奏が投稿されている。
寺島夕紗子の演奏は正統的な声楽によるものであるから、Youtubeなどで聴く演奏に慣れた方が聴くと違和感を感じるかもしれない。
しかし私は寺島夕紗子の演奏が一番好きだし、最も感動する。素晴らしい演奏だ。
演奏法とかそういうものを通り越した、一人の人間の強く熱い気持ちを感じる。
この寺島夕紗子の演奏は、部分的に選んだショートバージョンではなく、全ての詩を歌ったフルバージョンである。
はっきり言って、ショートバージョンは意味がない。
作曲者自身もこう言っている。
「戦争の悲惨さを伝えるために、「さわわ」という言葉と、10分という長さをこの歌は必要とした」
寺島夕紗子の演奏はYoutubeに投稿されていない。
今日、ニコニコ動画で見つけた。
是非、聴いて欲しい。人間の思いの強さ、というものがこれほどまでのものなのか、ということが感じられるに違ない。
寺島夕紗子(てらしま・ゆさこ)
ソプラノ歌手
雙葉高等学校卒業。東京藝術大学及び同大学院修了。文化庁在外研修員としてスペインで研鑽を積む。国内外での演奏活動のほか、NHKはじめ全国のテレビ、ラジオ番組にも多数出演。父・寺島尚彦作「さとうきび畑」「緑陰」等3枚のCDをリリース。また書籍、新聞、雑誌への執筆活動も展開。洗足学園音楽大学講師。
(論座 RONZA 2019年6月23日記事より引用)
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