緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

日本映画「約束」を観る

2022-01-22 21:35:56 | 映画
1960~1970年代の古い日本映画を何か見たいと思っていたところ、ふと古い記憶のワンシーンが蘇ってきた。
中年の女性が公園のベンチで独り、男を待ち続けるシーンだった。
このワンシーンが妙に記憶に焼き付いていた。

この映画のタイトルも連鎖して蘇ってきた。
「約束」
1972年。主演:岸恵子、萩原健一。



この映画は家のテレビで小学校4年生か5年生のときに見た。
日本海沿岸を舞台にした、終始暗く、荒涼とした人間心理をテーマにした映画だ。
当時はまだ子どもだったから主人公の男女の心を理解することなどできるはずはなく、わけありの女と犯罪を犯した男が交わした約束と、最後のラストシーンだけが脳裏に焼き付いていたのだった。

今日、50年近く経ってから再び観たのであったが、冬の日本海を舞台にした風景描写が今では考えられないくらいレベルの高いものであった。
また配役の演技も真剣勝負そのもので、心理描写の生々しさに涙が出てくるほどだった。

荒涼とした日本海の冬の海岸、昔のディーゼルの粗末な急行夜行列車、古びた小さな旅館や商店。
あの未だ日本が貧しさを残していた時代。
高度成長期の末期、現代とは違った、都会の渇ききった孤独、寂しさ、愛への渇望がたしかにこの時代にあった。
この時代は日本が最も感性豊かな時代であったと思う。

主人公たちの孤独な切ない気持ちが心に突き刺さり、長く余韻を残す名作だと思う。
この時代は、映画だけでなくドラマや時代劇も素晴らしいものが多かった。
この時代の日本の作品を鑑賞することは間違いなく、感受性を豊かにしてくれるはずだ。
ちなみにこの映画のテーマ音楽(といっても1種類ほどしかなかったが)も高く評価されるものであろう。
もし日本の70年代に関心があるのであれば、是非見ていただきたい作品だ。





昔の国鉄バス。下の写真と同じ型のバスを北海道で小学生の時に乗った。



刑務所前で3人が屋台のラーメンを食べるシーン。このシーンもかすかに覚えていた。



Youtubeでこの映画を10分弱の総集編のように圧縮して投稿した動画が見つかった。

約束
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