緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

ヨーゼフ・シゲティのバッハ「無伴奏バイオリン・パルティータ第2番」を聴く

2012-07-28 22:39:30 | バイオリン
こんにちは。
今から15年くらい前でしょうか。姉にヘンリク・シェリングの弾くバッハの無伴奏バイオリン・ソナタとパルティータ全集のCDを買ってあげたのですが、後でそのCDを貸してもらい、テープに録音して聴いていました。
シェリングの演奏は技巧が完璧で音が美しく精神性の高い名演だと思いました。しばらく繰り返し聴いていましたが、他の奏者聴いてみたいと思い買ったのがヨーゼフ・シゲティのCDでした。



録音が1959~1960年、シゲティが67~68歳の時ですね。
このCDを初めて聴いたとき、音が少しかすれていて技巧も最盛期を過ぎた演奏だったので、先に聴いていたシェリングの演奏と比べると遜色を感じざるを得ませんでした。
正直がっかりしました。このCDを買って失敗したと後悔しました。
途中まで聴き、それ以上聴くことはなくなりました。
今日、ふと15年ぶりにこのCDを聴きました。聴いたのはパルティータ第3番ホ長調と、パルティータ第2番二短調です。
15年前に初めて聴いたときの記憶が残っていたせいか、演奏にあまり期待せず、新聞を読みながらBGM風に聴き始めました。
パルティータ第2番を聴き始めて、なんとなく音が違うな、という感じがしていました。でもあまり気にせず新聞を読み続けました。
そして4曲目のジーグ(あの有名なシャコンヌの前の曲)に移ったとき、新聞を読んでいられなくなりました。シゲティの演奏に釘付けになっていました。お恥ずかしいことに気がついたら涙が出ていました。
バッハの曲でしかもバイオリンでこのような体験をしたのは初めてです。
私はバイオリン属の曲はあまり聴く方でなく、バイオリンで心を揺さぶられるほど心底感動したことは今まで一度もありません。
シゲティの演奏は新即物主義、ストイックであると言われていますが、私が聴いた限りではそういうものを超越したもの、何と言うか人の精神の根源的なものが伝わってきましたね。シゲティの演奏は渾身の力を出していながら無の境地に達していると思います。理論、理屈、解釈などといったもののはるか超えた所で行われている演奏だと思います。そう感じずにはいられないです。
15年経ってやっとシゲティの精神に触れることができたと思います。この演奏に出会えて本当によかった。
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2 コメント

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感動 (enesco-bach)
2015-02-12 23:12:57
お書きになられた文章に感動しました。
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Unknown (緑陽)
2015-02-13 01:03:08
enesco-bachさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
音楽を中心に言いたいことをきままに書いています。
堅く、読みづらい文章ばかりですが、時間のあるときにでも読んで頂けると幸いです。
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