緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

信長貴富作曲、大江健三郎作詞 合唱曲「新しい人」を聴く

2016-06-17 23:44:56 | 合唱
この2週刊程、平成16年度、Nコン全国大会のCDの演奏の聴き比べをしていた。
このCDは2、3年前に中古で買ったのだが、1、2回聴いたのみであった。

平成16年と言えば、一番パワフルに仕事をしていた頃だ。
今も忙しいがこの時は連日夜中まで仕事をしていても疲れ知らずだった。
今振り返ると、毎日時間をつぶすのに苦労した時代もあれば、時間がいくらあっても足りないと感じる時代もあった。
窓際も経験した。
周りが忙しいのに、自分だけが仕事の無い苦しみは身に染みて感じる。

平成16年度、Nコン全国大会の課題曲は、信長貴富作曲、大江健三郎作詞の、「新しい人」という曲であった。

信長貴富氏は私よりも年はずっと上だと思っていたが、調べてみると、私よりもかなり下だったので驚いた。
信長貴富氏は作曲は独学だそうだ。
これも驚きだ。
今度本格的に聴いてみようと思っている。
「青春譜」が有名だが、私は今回紹介する「新しい人」の方が優れていると思う。
また「ねがいごと」という曲もいい曲だ。

信長貴富氏の曲は、シンプルな構成であるが聴く者に強い感情を起こさせる。
感じた気持ちを、それも素朴で飾らない手法で音にしていく。
この「新しい人」の詩の内容もとても強く、聞き流すことは出来ない。

全10校の課題曲の演奏を何度も再生する。
最も強く感動したのは、福岡県の西南女学院高等学校の演奏であった。
まず歌い方が自然であること。
今の高校生である自分たちの歌声に逆らっていない。
そして全員が無理に声を均一にしようとしていない。

声を理想的な均一な音にし、計算されコントロールされた演奏は、特に意識せずとも必ずそれが聴き手に伝わる。
しかしこのような演奏が高い賞を取っているのが現状のコンクールだ。
高校生のコンクールの賞の結果で、演奏の良し悪しをを結論づけることは最も危険だ。
もっと幅広く、数多く聴いてあげなければならないと思う。

西南女学院高等学校の演奏を初めて聴いた時には、地味だと思った。
しかし何か惹かれるものがあった。
その後何度も聴いてその素晴らしさが理解できた。

歌い手がどんな人か、歌声の奥や、裏にあるものから感じられる。
欲が無く、無心で清らかなのか、野心的なのか、指導者にコントロールされ、個を失っているのか。

歌い手が意識せずとも、歌い手の本当の気持ちが高次元で「自然に」引き出された演奏が、最も素晴らしいと感じる。
もちろん高い技巧に支えられていることは言うまでもないが。

かなり抽象的な言い方になったが、実際に演奏を聴いて判断してもらう他はない。
頭や心を真空状態にして先入観を消し、そして演奏を聴いて、何か強い感情が引き起こされたならば、本物の演奏の可能性が高いのではないか。


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2 コメント

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Unknown (Tommy)
2016-06-18 14:23:04
ご紹介いただきました新しい人を聴きました。それに
もう一つ合唱コンクールでヒット数が多いのがありました
ので聴いてみました。

https://www.youtube.com/watch?v=HLq-H9XxMGg

https://www.youtube.com/watch?v=Fd-TO7F4__4
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Unknown (緑陽)
2016-06-19 00:21:13
Tommyさん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。
紹介下さった合唱曲「新しい人」のYoutubeの演奏、聴かせていただきました。
ありがとうございます。
この動画は記事で取り上げた平成16年度Nコン全国大会の受賞発表後の全体合唱の映像でした。
とても貴重な映像です。
わずかではありましたが、西南女学院高等学校の生徒たちの演奏も目にすることができました。
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