緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

レオ・ブローウェル演奏「アルハンブラの想い出」を聴く

2021-01-10 23:15:58 | ギター
しばらく聴いていなかったレオ・ブローウェルのライブ録音のCDを聴いた。
1990年代前半の頃に買ったCD(今売っているのだろうか)で、ブローウェルがまだ作曲家兼ギタリストとして活動していた頃のライブ録音を集めたものだ。

ブロウェルの若い頃、ギタリスト時代の録音を聴いたことがある方は分かるかもしれないが、ブローウェルの右手のタッチはものすごく強い。
そのために後で腱鞘炎になったと考えられるが、現在のギタリストには見いだせない音が聴ける。

このライブ集の中で、たぶんアンコールで弾いたものだと思われるが、彼にしてはめずらしい「アルハンブラの想い出」が収録されていた。
Youtubeに無かったので、本当はいけないのだが下に録音のコピーを貼り付けさせていただく。

レオ・ブローウェルのライブ録音より「アルハンブラの想い出」(1976年 ローマ)

ブローウェルのこの曲を原曲のイ短調から半音高い調で演奏している。
恐らくカポタストを付けて演奏したものだと思われる。
何故このように調を半音上げたのか。
もしかすると「アルハンブラの想い出」という曲のベストの調整がイ短調ではなく、それよりも半音高い調性だと考えたからではないか。
同じような録音で、ジェイ・ベルリナーの録音がある。

ジェイ・ベルリナー アルハンブラの思い出(タルレガ)


このジェイ・ベルリナーの演奏は、私が「アルハンブラの想い出」で初めて聴いた演奏であり、その出会いは衝撃的なものであった。
今でもこの曲のベスト盤はジェイ・ベルリナーのものだ。

さてブローウェルの演奏速度はどうか。
この曲ほど奏者によって速度がさまざまな曲はないだろう。
速度の遅い演奏の代表的なものとして、セゴビアや若い時のジョン・ウィリアムスのものがあるが、彼らの演奏からは「歌」というものが聴こえてこない。
セゴビアの演奏は、トレモロの弾き方や三連符のスラーの箇所の弾き方に素晴らしいものがあるが、肝心の「アルハンブラ宮殿」の想い出を想起させる「歌心」というべきものはあまり伝わってこない。

作曲者であるタレガがどの程度の速度を考えていたか、それを示す手がかりは無いが、私が思うには、ブローウェルのこのライブ録音やジェイ・ベルリナーの録音での速度がベストなのではないかと思うのである。
彼らの演奏からは確かに「歌」がはっきりと伝わってくる。

調整と速度の選択は作曲にあたって重要な要素であるが、調性はギターの機能の都合上、イ調にせざるを得なかったにしても、ベストな調性はイ調よりも半音高い調性のように感じらえる。

ブローウェルとジェイ・ベルリナーの演奏での調整と速度の同調は偶然ではないような気がする。

コメント (2)

松平頼則 作曲「 ソナチネ 1楽章 」を聴く

2021-01-10 22:13:28 | フルート
松平頼則氏のめずらしい曲を聴いた。
松平頼則の名前を初めて知ったのは大学時代だった。
当時発売されていた全音ギターピースが絶版となるとの話を聞いて、邦人作曲家の曲を買い集めていたときに、氏の唯一のギター曲である「ギタールのためのソナチネ」を買ったのである。







結局この曲を初めて弾いたのが買ってから30年経った今から5,6年前の頃だ。
ただ難しくで全曲演奏には至らなかった。

この「ギタールのためのソナチネ」、数年前に全音から復刻されたギターピース選集に何故か(?)選ばれていた。
タイトルは「ギターのためのソナチネ」に変更されていたが、正しくは「ギタールのためのソナチネ」である。
何故、このような超マイナーな曲が復刻版に選ばれたか違和感、意外性を感じたが、もしかするとこの曲を復刻して欲しいという声があったのかもしれない。
でも今日現在、Youtubeで探したが演奏は投稿されていない(数年前からずっと探しているが見当たらない)。

今日この「ギタールのためのソナチネ」をYoutubeで探していたところ、この曲は見つからなかったが、フルートのソナチネでいい曲に出会った。
松平頼則の音楽と言うと、雅楽に影響された作風をイメージするが、この「ソナチネ」はむしろフランス音楽の香りが漂う。
作曲年が不明だが、若い頃の作品なのではないか。

この「ソナチネ」は第3楽章まであるが、第2楽章、第3楽章はあまり良くない。
第1楽章のみ聴くのでもいいと思う。

松平 頼則 作曲 / ソナチネ 1楽章 Yoritsune Matsudaira /Sonatine





コメント