緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

クラウディオ・アラウのライブ録音「ピアノソナタ第23番熱情」を聴く

2018-11-23 00:23:54 | ピアノ
ピアノの巨匠、クラウディオ・アラウの最盛期と思われるライブ録音を聴いた。
曲はベートーヴェンのピアノソナタ第23番「熱情」。

ピアノソナタ第23番の録音は今まで数多く聴いてきたが、印象に残っているのはマリヤ・グリンベルクの旧録音、タチアナ・ニコラーエワのライブ録音などであるが、このクラウディオ・アラウのライブ録音も素晴らしい。
ピアノのライブ演奏の中でも屈指の名演と思う。

これほどのピアノの音を引き出せるピアニストは現在はもちろんのこと、過去においても殆どいない。
物理的な力ではない、何か精神的、人間の感情的な強い力が音に変換されているとしか言いようがない。
だから聴いていて物凄い感情が湧き起ってくる。
ベートーヴェンの心情を真に表現できるのは、彼のようなピアニストでなければ出来ない。
表面だけさらってそれらしく弾いているピアニストがいかに多いかが分かる。

この演奏はとくにギター奏者に聴いて欲しいと思う。
クラシックギター界が過去30年の間、失っていたものの答えがこの演奏にある。
ピアノとギターとでは楽器は違うが、音楽は共通だ。

真に素晴らしい音楽や演奏は、理屈や頭での解釈を超えている。
そのようなものを受け付けない、というか、そのようなものが入り込む余地が全く無いほどの超越したものだと思う。
聴き手はただただ、音楽に身を任せるしかない。

音楽の原点が人間の根源的な感情であることに今さらながら教えられる思いだ。

Claudio Arrau Beethoven "Appassionata" (Full)
コメント (4)