緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

今年の抱負2018(3)

2018-01-20 21:44:48 | 音楽一般
(前回からの続き)

2.マンドリン・オーケストラ曲

昨年のマンドリン音楽の鑑賞で最大の成果は何と言っても、熊谷賢一作曲「マンドリンオーケストラの為の群炎Ⅵ 樹の詩」、ノートルダム清心女子短期大学の初演(1983年)を聴いて、マンドリン音楽の真髄に触れたことである。

この曲は熊谷賢一作品の最高傑作であり、マンドリンオーケストラ曲の中でも傑作中の傑作であると確信している。
実はこの曲を学生時代に演奏している。今から34年前、1984年の夏だった。
札幌の某大学とのジョイントコンサートで弾いた。
当時、大学近くに住んでいた超おんぼろアパートを朝早く出で、高速バスで札幌に行き、大通り近くの4プラから市電に乗り換え、しばらくするとジョイント先の大学があり、そこで合同練習をしたことを思い出す。

学生時代、この曲を演奏していた頃はこの曲の真価に気付かなかった。
恐らく、自分のギターパートしか聴こえていなかったからであろう。
この曲の全貌に触れていなかった。まだその頃は、自分のパートの音楽しか注意が向いていなかった。
しかしこの曲は、ギターパートに主役を与えた、マンドリンオーケストラ曲の中でも稀な曲であり、私は学生時代も卒業し社会人になってもこの曲のフレーズを時折弾いたものだった。

昨年の3月頃だったと思う。
熊谷賢一さんのご子息から当ブログのコメント欄を通じて、熊谷賢一作品のYoutubeのアカウンを教えて頂いた。
そしてこの、物凄く感動する演奏に出会ったのだ。



この ノートルダム清心女子短期大学の初演を聴くと、決して大袈裟なことを言うつもりはなく、本当に物凄く強い感情が湧き起こってくるのである。
聴いている途中も、聴き終わった後でも感動に震える。
安らぎというような幸福感というのではなく、どん底から這い上がってみんなの凄まじいほどのパワーでもって掴みとった幸福感。そんな幸福感、そこに至る様々なプロセス、人間的なドラマを感じる。
それは日本の戦後の復興、高度経済成長期の活気に溢れた時代を彷彿させる。
私が生まれて思春期までの時代に重なる。
腹の底から湧き起ってくるパワー。
かつては未だあった大自然の素晴らしさ。
日本人の繊細な感性、とてつもない優しさ。
こういったものがこの曲の根底にみなぎっているのである。

この曲を聴き終えると全身汗だくになる。
それは普段感じていない強い感情が放出されるからであろう。
ノートルダム清心女子短期大学の演奏は全てが素晴らしいが、とくにギターパートが素晴らしい。
芯のある強い音。アポヤンドで弾いている。
「ゴーン」と鋼を打ったような力強い低音。ホセ・ラミレスⅢ世の5弦開放弦のようだ。
軽くて、ペンペンしたかすれた昨今のギターの音とはまるで違う。

この曲は生きる上で大切なことを教えてくれる。
少なくても私はこの曲、この演奏から大きなパワーをもらっている。
日々の辛いことに耐えられるのもこのような存在があるからなのだ。これを言っておきたい。

この曲が陽の目を見ず、影に埋もれているのはもったいない。
一生の間に、もう一度この曲を演奏したい。
母校のマンドリンクラブは今年50周年を迎えるが、記念演奏会をやるのであろうか。
10年前の40周年の時には、同期の正指揮者だったM君から現役生との演奏の誘いを受けたが、勤務先のシステム入れ替えで超多忙で実現しなかった。
今年は是非参加したいと思っているが、この曲を演奏したい。

(熊谷賢一さんは、昨年10月に死去されました。享年83)

昨年の大学マンドリンオーケストラの演奏会は、中央大学、立教大学、獨協大学、静岡大学を聴いた。
中央大学マンドリン倶楽部の冬の定期演奏会は昨年、平日開催だったため、聴きに行くことが出来なかった。
学生時代に演奏した鈴木静一の「大幻想曲 幻の国 邪馬台」が演奏されることもあって、聴きに行きたかったのであるが、残念だ。これまでのように土曜日に開催いただけないものだろうか。
この大学の演奏には本当に感動を与えてもらっているので期待したい。
しかしその後、偶然にも静岡大学マンドリンクラブの定期演奏会があることを知り、ちょっと遠かったが、新幹線で静岡まで行き、聴きに行ってきた。
曲目に鈴木静一の「細川ガラシャ」と藤掛廣幸の「星空のコンチェルト」があったこともある。
この大学は人数が20数名と少ないが、技術的、音楽的レベルは今まで聴いた大学の中ではトップクラスであったことに驚いた。
基礎的技巧の練習を徹底していると思われ、技術的破綻が殆ど無かった。
音楽的表現もレベルが高く、とくにコンサートミストレスの演奏は素晴らしかった。
プログラムも4年生だけの寸劇や、ミニコンサートがあり楽しめた。
ギターの二重奏は素晴らしかった。
交通費がかかるので、そうは行けないだろうが、プログラム次第では今後も聴きに行きたい。

さて来年の抱負であるが、自分の夢としてはマンドリンオーケストラに参加して合奏を経験してみたい。
母校の50周年記念演奏会に期待したいが、案内は未だ来ていない。

3年ほど前に、マンドリンを中古で買ったが、弾かずじまいだ。勿体ない。
弦切り恐怖症になったことも一因であるが、今年はマンドリンの練習にも力を入れたい。
そして今まで学生時代に演奏した曲を中心に好きな曲のワン・フレーズを弾けるようになって、自己満足に浸りたいものだ。

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