緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

ショパン ワルツ集 ウェルナー・ハースの演奏を聴く

2013-06-08 20:47:10 | ピアノ
こんにちは。
だんだん暑くなってきました。暑いのが嫌いな私はこれから夏の終わりににかけてが一番つらい時期です。
ブログを始めてやがて2年になります。
ものぐさな性格の私ですが、意外に続いたなあと思います。音楽について感じたことをそのまま書いているだけなのですが、何か役立ててもらったり、紹介した曲や演奏を聴いて下さり、もし感動したということがあったならば、望外の喜びですね。
ブログを立ち上げると閲覧しているかどうかが分かるのですが、読んで下さっている方にはとても感謝しています。
さて今日もピアノの話題です。
ピアノ曲を本格的に始めて聴いたのはチャイコフスキーのピアノ協奏曲で中学2、3年生の頃でしたが、それからショパン、アルベニス、グラナドス、モンポウ、フォーレといった作曲家のピアノ曲を聴いてきました。
そして今年に入ってからベートーヴェンのピアノソナタの鑑賞に力を入れ始めました。
今日久しぶりにショパンを聴きました。
ショパンのピアノ曲は多数ありますが、私はワルツ集が最も好きです。短く簡素でありながら大きな感動を与えてくれるところが気に入っており、ワルツ集の中でも第10番ロ短調(op.69-2)が最も好きです。
ショパンのワルツ集は20代初め、就職して間もない頃、バシャーリというピアニストのレコードを買って聴いたのを皮切りに、リパッティ、フランソワ、ルービンシュタイン、アラウ、ゲザ・アンダ、ルイサダ、マガロフといった演奏家の録音を聴いてきました。
今まで聴いてきたショパンのワルツ集で最も感動したのはゲザ・アンダの演奏です。彼が癌で54歳の生涯を閉じる半年前に録音されたこのワルツは非常に集中力の高い精神状態の中で演奏されたと思われる、超名演と言えるものです。
特に第10番ロ短調(op.69-2)は本当に凄い演奏だと思っています。
今日またショパンのワルツ集の演奏で素晴らしい演奏に出会いました。
その演奏者はドイツ生まれのウェルナー・ハース(1931-1976)です。
ウェルナー・ハースの演奏に始めて出会ったのは、今年の初めから春先にかけて聴き比べをしていたチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の録音を聴いたときであり、その演奏から聴こえてくる均質で濁りの無いピアノの美音と、1音1音が明確に分離された淀みのない演奏技巧に感嘆し、この曲で私が最も感動した演奏の3つの中の1つにあげさせてもらいました(以前のブロク「チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番を聴く(1)」で紹介しています)。
ウェルナー・ハースのピアノ協奏曲第1番を聴いてから彼の他の演奏の録音を探しましたが、彼が若くして亡くなったために録音数が少なく、比較的容易に手に入る録音はドビュッシーのものでした。
先日、LPですがウェルナー・ハースの弾くショパンのワルツ集があることがわかり、中古品ですが手に入れました。



早速聴いてみたが、チャイコフスキーの録音と同様、素晴らしい演奏でした。
まずハースの演奏の最大の魅力は先にも述べたように均質でむらの無い、濁りがなく、やや硬質だが粒の際立った美しい、ピアノならではの音を聴かせてくれることです。
この音は彼の師であるギーゼキングの影響を受けていると思いますが、私はギーゼキングよりもハースの音の方が好きです。
またハースの演奏は1音1音が明確に分離しており、どんなに速いパッセージでも淀み無く明瞭に聴こえてきます。これはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の聴き比べをしている時に最も他の奏者と異なる特質だと感じましたが、ショパンのワルツの演奏も同様です。
また均質、均一的な音、完璧な技巧でテンポの速い演奏はともすれば即物主義的にとらえられることもありますが、ハースの演奏は全然その見方は当てはまりません。
ハースの演奏は正確で高い技巧に支えられながらも非常に音楽的、それも聴き手の心に深く分け入ることのできるものです。
また聴きたい、そして何度でも聴きたいと思うような演奏です。
ショパンのワルツ集14曲の演奏はどれも素晴らしいが、第7番、9番、第14番が特に良かった。
ウェルナー・ハースは40歳代の半ばで不運にも交通事故で亡くなったそうです。
彼の録音が少ないのはそのせいでもありますが、これから円熟した演奏をたくさん聴かせてくれたに違いにない矢先での短い生涯であり、ゲザ・アンダと同じくとても残念なことです。


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