緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

感動した合唱曲(全日本合唱コンクール高等学校部門) (2)

2012-02-19 21:34:40 | 合唱
こんにちは。
しばらくブログで遠ざかっていた合唱曲について書きます。
高校生の合唱コンクールの演奏で、感動選集の2回目(全日本合唱コンクール高等学校
部門)は、H23年度(第64回)大会Bグループで演奏した、関西支部代表和歌山県
立田辺高等学校です。
その演奏曲は、課題曲「父の唄」(作詞:谷川俊太郎、作曲:高嶋みどり)です。







この演奏を初めて聴いたとき何か心に強く感じるものがありました。
そして2回、3回と繰り返し聴くたびに、それが演奏者たちの非常に強い感情エネル
ギーなようなものであることがわかった。
この演奏はとても素晴らしいものです。技術的にも音楽的にも。そしてそれらを超える
ものが伝わってくる。
演奏会前に起きた台風で大切な仲間を失ったそうだ。朝日新聞にもそのことが出ていた
し、コンクールのプログラムの学校紹介にも書いてあった。
この学校の生徒たちに歌われることで、詩や曲自身が喜びに満ちているような感じを
を受けた。
志し半ばで天国へ逝った仲間もきっとこの演奏を聴いて嬉しく思っているに違いない
と思うのです。
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感動した合唱曲(NHK全国学校音楽コンクール:Nコン)(3)

2012-02-19 15:09:08 | 合唱
こんにちは。
しばらく合唱曲から遠ざかっていました。
今日は今まで聴いた合唱コンクール高等学校の部の中で感動した演奏を紹介したいと
思います。
今回はNコン(NHK全国学校音楽コンクール)で第3回目の紹介です。
そしてその演奏は平成21年度(第76回)大会に出場した、四国ブロック代表の愛媛
県立西条高等学校です。
演奏曲は、作詞:近松門左衛門、作曲:千原英喜の「混声合唱のための「ラプソディ・
イン・チカマツ[近松門左衛門狂想]から壱の段」です。





この演奏は、前回紹介した同年のNコンの課題曲「あの空へ~青のジャンプ~」の
西条高校の演奏と共に、私が今まで聴いてきた合唱曲の中で最高の演奏です。
聴く回数も圧倒的に多いです。1回聴いて、またすぐに繰り返し聴いてしまうんですね。
また何度聴いても感動が変わらないところがこの演奏のいいところです。
西条高校は過去のNコンでは確か昭和53年度で優勝しているはずです。その後は私
の記憶が正しければ平成9年度大会に出場しているはずです。課題曲が「めばえ」とい
う曲の演奏をCDで聴いたことがあります(間違っていたらごめんなさい)。
地方の公立高校で部員数が少ないが、少ないなりにその良さを活かした完成度の高い
素晴らしい演奏だと思います。
テノールが素晴らしいが、私は女声が特に好きです。西条高校の女声は他の高校には
見られない独特のものを感じます。ホールの奥まで突き抜けていくような力強く通る声、
透明感、艶があり、そして女声らしい優しさが自然に表現できているところに魅力を
感じます。
この「チカマツ」の西条高校の演奏を聴くと、彼らが凄い集中力で歌っていることが
わかります。そして最高と感じるのは、彼らが歌を歌うことが本当に好きで、歌を歌う
ことに最大の喜びを感じていることが聴き手に伝わってくることです。
まさに無心で演奏していることがわかる。この無心で演奏していることが好きなんで
す。
この「チカマツ」の歌詞ですが、演奏を聴いているだけでは殆ど理解できません。
やはり原詩を見ないとわからないので、全音楽譜から出ている楽譜を買って読みました
が、作曲者の解説もあり、この曲の意味や背景が良く理解できます。





この楽譜の中で作者は、「義太夫や歌舞伎など即興性と大きな感情振幅を特質とする和風
の要素を、西洋合唱音楽の響きの同質性、共和性に融合させるだけでなく、あえて
お互いを激しく交錯させ、そこから立ち上がるであろう新鮮な音場、すなわち伝統に
根ざしながらも次世代のあたらしい響きへの可能性を秘めた、生命力と緊張感みなぎる
濃密な音楽空間の現出を期待している。自由闊達な精神と創造へのあくなき意欲で、
ファンタジーに充ちた声の浄瑠璃万華鏡世界を活き活きと展開させてほしい」と述べて
います。
日本の伝統芸能や伝統音楽を西洋の音楽様式に融合させる試み、日本の音楽界では、
武満徹や下山一二三などの作曲家が知られていますが、困難な作業なのであろう。
クラシックギター曲においても、「ギター・ソナタ」を作曲した原田甫(伊福部門下
の作曲家)は、日本独自の音楽旋法である5音音階陰旋法を西洋様式の楽器に移し
替えて音楽を作り上げることがいかに困難な作業であるかを述べています。
下は「ギター・ソナタ」の第2楽章の冒頭部の譜面。



この「チカマツ」をより深く理解するためには、もっと近松門左衛門や浄瑠璃など
を研究しなければならないが、それをしなかったとしてもこの曲は十分に感動を与えて
くれるものです。
西条高校の演奏は作曲家の意図を十分に理解したものであると思います。
西条高校は、同年に開催された全日本合唱連盟主催の全日本合唱コンクール高等学校
部門において、この「チカマツ」の貳の段を演奏しましたが、その演奏も素晴らしい
ものです。
Nコンの壱の段と合わせて是非聴いてみることをお勧めします。

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