緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

弦止めについて

2011-08-20 22:35:26 | ギター
こんばんは。
昨日、一昨日と涼しい日が続いていて、暑さに弱い私は助かっています。
以前の私のブログで、クラシックギターの弦をチップで固定する写真で
紹介したことがあります。
通常は弦をギターに固定する際には、下の写真のように弦をブリッジ
(下駒ともいう)に空けられた穴(糸道という)に通して、ブリッジ
上部に固定されているサドル(写真の白い細長いもの)と弦穴上部との
間で1回からませて、弦穴下部で1~3回程度巻きつけて固定します。
巻きつける回数は弦によって異なります。私は1,2弦は3回、3弦が
2回、4~6弦は1回です。



以前3台目のギターを買った時のことなのですが、2台目までは1弦の
弦を固定するために巻きつける回数が2回でも大丈夫だったので、3台
目のギターも何の迷いもなく2回巻きつけて糸巻きのつまみを回して、
調弦していきました。しかし何故か糸巻きのつまみを回しているのに音が
上がっていきませんでした。
なんかおかしいと思いながらも糸巻きのつまみを回し続けたとき突然、
「ピシャン」というものすごい音と衝撃を感じました。
一瞬何が起こったかわからなかったのですが、ブリッジを見たら1弦が
抜けていました。それだけならいいのですが、ブリッジ下部の1弦側の
表面板に痛々しい深い傷が出来ていました。
いわゆる「弦の跳ね傷」というやつです。買ったばかりのギターだったの
すごいショックでした。結構長く落ち込みました。
それに懲りて1弦と2弦は必ず3回巻きつけるようにしています。アリアン
スのカーボン弦のような細い弦は4回巻きつけた方が良いでしょう。
しかしこの弦の跳ね傷というやつは、中古ギターなどでも結構見かけます。
私と同じ失敗をしたんですね。中には跳ね傷を2箇所つけているギター
もあります。傷が出来た原因がわからず、同じ失敗を繰り返したんです
ね。教えてくれる人がいないと繰り返してしまうかもしれません。
さて、弦をブリッジに固定する方法は上の写真のような方法が一般的です
が、この方法ですとサドルと弦穴上部との間で1回弦を絡めるために、その
絡めた弦が上側に持ち上がる力が働くためにサドルと絡めた弦との角度が
浅くなり、サドルに掛かる弦の張力がその分落ちてしまうのです。また、
絡めた弦が上側に持ち上げる力が働くことにより、弦穴上部が調弦時の
弦の摩擦により次第に削れて行き、サドルとの角度ますます浅くなって
弦の張力が落ちていくという悪循環となります。
このような固定方法の欠点を解消し、弦の振動を効率よくブリッジに伝える
ためのツールとして、チップというものがあります。



このチップを使って弦を固定すると、サドルと弦穴上部との間で弦を
絡ませないので、サドルに掛かる弦の張力にロスが生じなくなり、音が
明瞭になります。実際私のギターに使用していますが、使用前に比べて
若干ですが音は良くなりました。
ただこのチップは値段が高いです。ギター専門店で買うと象牙製で6
千円以上します。とても買う気になれない金額ですね。なので私はいつも
の習慣でネットで安くていいものがないかと探して、2千円くらいの
ものを使用しています。
先日、ギターのネットオークションを見ていたら、ある方がチップでは
なく金属性のビーズで弦止めする方法を写真つきで紹介していました。
この方は古いヤマハのクラシックギターについていた弦止めにヒントを
得てビーズで弦を止める方法を試行錯誤の末に考案されたとのことです。
これを見た私は早速このビーズによる弦止めを試してみようと思いました。
まずビーズというものがどこに売っているかわからないので、とりあえず
東急ハンズに行ってビーズを捜しました。アクセサリー売り場にそれは
ありました。しかし金属性のビーズはあるものの穴が大きすぎて使えそ
うにないのであきらめかけた時、裏の方に場所を移すと天然石のビーズ
が売っているのを見つけました。大きさも弦を通す穴も良さそうだった
のでこれは使えると喜びました。
天然石は何種類かあって、名前は忘れましたがエメラルド色のものが
欲しかったのですが、直径6mmのものが無かったのと、強度(硬度)
に不安があったので、結局6mmサイズ(ヘマタイト、252円、12
ケ入り)と8mmサイズ(スモーキークオ、504円、9ケ入り)の
2つを買いました。



早速家に帰ってギターに試してみましたが、直径8mmのものは大きすぎ
てギターの表面板に下部が接触してしまうことが判明、6mmのものを
試すことにしました。しかし6弦と3弦は穴が小さいため穴を広げる
必要があります。
とりあえず、まずは6弦と3弦以外の弦をこの天然石ビーズを使って
固定してみました。糸巻きのつまみを回して調弦していったときビーズ
から弦が外れて表面板を直撃するかわからないため、セルロイドのシート
を下に敷いて固定しました。1弦と2弦は3回巻きつけて結び、3弦と
4弦は2回、(後で5弦と6弦は1回)巻きつけて固定しました。
6弦のビーズがごくわずか表面板に接触しているようなので、後で少し
ビーズの下を削ろうと思っています。





上の写真で分かるかと思いますが、通常の固定方法による6弦と3弦のサド
ルとの角度とビーズで固定した1,2、4,5弦のサドルとの角度を見比べ
てみると、1,2、4,5弦の方が角度が深いことがわかります。
そして6弦と3弦は穴が小さいため、写真のようなナットの溝調整用の金属
ヤスリで穴を拡げて固定しました。







写真を見ると、1~6弦全てサドルとの角度が深くなっています。
全てのビーズの取り付けが終わった後、糸巻きのつまみを慎重にゆっくり
回して調弦していきました。
一応弦が抜けたり、ビーズが割れたりすることなく調弦できました。
で、肝心の音の方ですが、高音弦は取り付けの直後のこともあり、ちょっと
にぶい感じがします、音の立ち上がりが悪いかんじです。しかしこれは
チップを新しく取り付けた直後にもみられたことなので、しばらく弾いて
なじむのを待って成果を判断することになります。
もし象牙のチップと同等以上の効果があれば安価なので嬉しいのですが、
音が良くなるかどうかの判定はしばらく弾いてみないと分からないのと、
ギターとの組み合わせにより効果が得られない可能性もあるため、違うギター
で試したり、天然石の材質を変えてみたり、8mmサイズの下側を削った
もので試してみたりなど試行錯誤が必要と考えます。
なお、この固定方法は強度が完全であるか未だわかりません。
よって試す場合はギターを傷つけないないよう十分注意して、自己責任で
お願いします。
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