緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

いい演奏は何度聴いても深い感動を得られる

2011-08-17 13:24:23 | 合唱
こんにちは。
わずかの期間ですが会社の夏休みに入り、北海道の実家に帰省しています。毎日
天気が悪いですが、気温は低く涼しいです。
いつもよりも時間が出来たため、普段は休日しか十分に弾けないギターを弾いたり、
CDを聴いたりしてくつろいでいます。
CDはNHK全国学校音楽コンクール高校の部(合唱)を中心に聴いています。
このNHK全国学校音楽コンクールのCDなのですが、過去の年度のCDがなか
なか手に入らないんですね。私は17~22年度の各年度と、13年度のCDを
手に入れましたが、それ以外の年度は廃盤になっており、中古品として出品されて
いたとしても値段が1万円くらいという信じられないくらい高いんです。
とても買うことができないので、手に入らない年度のCDは、上野の東京文化会館
音楽資料室に行ってCDを聴かせてもらってます。
今回の夏休みは17、18、20、21年度の4枚のCDを実家に持ち込んで、
じっくり聴いているところです。
結局、昨日までの3日間で一番数多く聴いたのは、以前ブログで紹介した21年度
(76回)大会の西条高校の演奏です。3日間で20回以上は聴いていると思い
ます。どうしてもこの高校の演奏のCDに手が伸びてしまうんですね。何度聴いて
も深く感動する素晴らしい演奏です。
今聴いているのは17年度の演奏です。課題曲は川崎洋作詞、寺嶋陸也作曲の「
風になりたい」です。この曲もいい曲です。詩も曲もシンプルですが、注意深く何度
も聴いていると、心に強く響いてくるものがあります。
この課題曲の詩や作曲をした人の気持ち、もっと遡れば人間誰もが持っている根源
的な感情、やさしさや前向きな気持ちといったものを生徒たちがどこまで聴き手に伝え
ているのかを聴き比べてみるのも楽しみです。
私は気に入った演奏があれば何度でも繰り返し聴くし、同じ曲で他の演奏者の演奏
もできるだけ聴くようにしています。そのような作業の過程の中で、聴いた曲や演奏
者が聴き手に伝えようとしているものを感じとることができます。
この17年度の課題曲も女声三部に限って聴き比べをしてきました。聴き初めてから
半年くらい経ちますが、女声三部で出場した高校、5校の中で聴き始めたころに
なぜか心に残る高校が2校ありました。
学校の名前は差し控えさせてもらいますが、2校とも全国大会の常連校ではありま
せん。でもその2校の演奏だけが心に響いてきて、この曲を聴くときはこの2校だ
けをどうしても聴いてしまうのです。
今回の夏休みでこの課題曲を集中して聴いたことにより、その理由が分かってきま
した。
曲の後半で「風のはたらきを心にとめて、私にできる役割を担いたい」という部分
があるのですが、この部分でこの2校の歌声に優しい気持ちがにじみでているんで
す。
この曲の詩は「風になって全ての悩みや悲しみをさっと、吹き飛ばし、うつむく人
の背を押して、太陽に一歩踏み出させたい」、「命の重みと喜びを地球のすみずみ
まで思いを伝えたい」という、内容から分かるように、誰もが根源的に持っている人
に対する優しさや、人に生きる喜びを与えたいという強い希望や前向きなエネルギー
を感じさせられます。作者はきっと、優しい人になってもらいたいという強い願いを
持ってこの詩や曲を作ったに違いありません。
この人に対する優しさや前向きな気持ちが、先の2校の演奏には自然に出ているの
です。聴き始めたころ、何で心に残るのか分からなかったのは、この気持ちが聴き手
に意識的に気づかれなくても、伝わっていたからではないかと思います。
このような気持ちを意識して歌で表現しようと思っても出来るものではないと思い
ます。もともと誰もが持っている根源的な気持ちを指導者が引き出したのでしょうか?
だとしたら凄いことだと思います。また生徒たちがそのような気持ちを出せる環境に
にいたのかもしれません(だとしたら私にとっては凄く羨ましいです)。
賞を取ろうとか、そういう打算的なものを意識におくと、こういう演奏はできなく
なってしまうと思う。だから全国大会の演奏で常連校でなく、また上位の賞を取って
いなくても素晴らしい演奏があることに気づくのです。
合唱コンクールの演奏を聴くと、学校によってカラーというものがあるのも分かるし、
目指しているものも様々であることに気づきます。
人の心の奥まで届き、いつまでも残り続ける演奏というのはそう滅多にないと思い
ます。高い技術に裏打ちされていることも必要です。
でも過去の合唱コンクールのCDを繰り返し聴いていると、少ないながらそのような
演奏に出会うことができます。そのような演奏は何度聴いても深い感動を与えてくれ
ます。
そして聴き手の心に力を与えてくれます。また自分が過去にやりたかったけど、
かなわなかったもの、そのようなものを感じさせてくれます。

PS.自宅に戻ってきたので、17年度CDの写真を下に載せました。
また一部意見を追加しました。





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