晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『仕掛人・藤枝梅安 殺しの四人』

2015-05-13 | 日本人作家 あ
当ブログでは読み終わった感想などは書いてませんが、なんだかんだで
「鬼平」と「剣客商売」はシリーズ全冊読みました。じゃあなんで途中
は書いてないのよ?ということなのですが、例えば10巻まで読んでたと
すると、次は11~15巻まで5冊まとめて買ってきて、5冊一気にサーっと
流し読みしてしまい、はじめのほうで読んだ話が忘れてしまって、また
読み返すのも面倒なので、そのまま放置してしまった、というわけ。

さて、池波正太郎の「鬼平~」「剣客~」と並ぶ人気のシリーズである
『藤枝梅安』。
読む前に、正直「殺し屋の話はちょっと・・・」と読まず嫌いでいたも
のですが、シリーズ2つは読み終えてしまったので、またちょいと「池波
ワールド」に浸りたいと思い、読んでみることに。

品川に住む、鍼医者、藤枝梅安。医者としての信頼は厚く、ひとり暮らしなの
で、近所の農家さんが家の掃除をしてくれたり、診てあげて快復した患者などから
届け物があったりします。

しかし、そんな梅安にはもうひとつの顔が。それは「仕掛人」という、殺し屋。

アウトローの世界での大物のもとに「殺し」の依頼がまず入り、これを「起り」
と呼び、次にこのミッションにうってつけの殺し屋のもとに依頼をします。これを
「蔓」と呼びます。

で、梅安たち「仕掛人」は「起り」がどんな事情で対象人物に死んでもらいたいかは
聞かないのが暗黙のルールで、ようはミッションが成功したら「蔓」から報酬をもらう
だけ。

赤坂、田町一帯の娼家を束ねている顔役、〔赤大黒の市兵衛〕からの依頼で、
薬研堀(今の東京都中央区東日本橋)にある料理屋「万七」の女将、おみのを
殺してもらいたい、というのですが、梅安、ちょっと不思議に思います。
「その、おみのというのは後妻ですよね?」などとは聞きません。
というのも、三年前、こちらもアウトローの大物、両国界隈の香具師の元締、
〔羽沢の嘉兵衛〕からの依頼で「万七」の女房、おしずを梅安が殺していたから
です。

この依頼を受けて、梅安はとりあえず「万七」に行って見ますが、かつては人気
のあった料理屋は今は雰囲気が悪くなってしまっていて、女中に聞くと、女将
が変わってから酷くなった、というのです。
そこで「前の女将を殺してほしいと依頼したのは、誰だろう?」と考えます。

おみの殺害の下準備をしているところへ、〔羽沢の嘉兵衛〕から、別件で殺しの
依頼が。聞けば、大名の家臣つまり武士だというのです。
梅安は、この難しい依頼を引き受ける代わりに、三年前、おしず殺害の依頼主を
聞くのですが・・・

という、最初の「おんなごろし」という話。もうこれで引き付けられてしまいました。
他に収録されている「殺しの四人」「秋風二人旅」「後は知らない」「梅安晦日蕎麦」
どれも夢中になってあっというまに読んでしまいました。

孤独な殺し屋、梅安ですが、心を許しあってる同業者がいます。浅草に住んで、表の
仕事は楊枝職人の彦次郎。お互いの依頼の助け合いをしたり、相談に乗ったりします。
「秋風二人旅」では梅安と彦次郎が京都旅行に出かけます。というのも、梅安の医者と
しての師匠は京都に住んでいて、その墓参りも兼ねて。

「鬼平~」でも平蔵は父について京都に住んでいたことがあるし、「剣客~」の大治郎も
修業は京都でやっていますね。三人に共通するのが京都というのも面白いですね。
まあ、当時の首都は京都※でしたし、そこらへんは当然かも。

※江戸時代のあくまで機能的な首都は江戸で
天皇の住んでいた京都が江戸時代までの日本の首都。
コメント
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