晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

乙川優三郎 『蔓の端々』

2018-07-21 | 日本人作家 あ
この時期は暑くて眠りも浅いのでなるべく睡眠時間を
長く取りたいから、いつもは就寝までの1時間くらいが
「読書タイム」なのですがこの時期は睡眠優先。
じゃあいつ読むの?ってな問題ですが、涼しいところ
に行ったときの待ち時間などにちょこちょこ読んでお
ります。ですので更新期間がだいぶ間隔空くでしょう
が、ま、そこんところひとつ。

さて、時代小説です。

郷田家という藩主が治める架空の藩で、文中によれば
「海風を感じる」ということで海沿い、そして領地内
に「杣川」という、山で切った材木を流す川があって、
ということは江戸からだいぶ離れてますね。

そんな藩に瓜生禎蔵という若い武士がいます。
義父とふたり暮らしで、いちおう(武具方)という御
役ではありますが、五石二人扶持という下役。ですが
剣の腕はそこそこで将来は剣術で出世したいと考えて
います。そんな禎蔵、近所に住む幼なじみの八重とい
う女性がこの頃気になってしょうがありません。

ところがある日、八重が夜になっても帰ってこないと
八重のお父さんから聞いてびっくり。さらにびっくり
なのは、禎蔵の友人で藩の剣術指南でもある黒崎礼助
と一緒だったというのです。

そして、さらに驚愕の出来事が。藩の筆頭家老である
守口丈太夫が斬られて死んだというのです。その犯人
が礼助だと・・・

禎蔵には何が起こったのか見当がつきません。藩はさ
っそく礼助に討手を出しますが、女連れの礼助は討手
を撒いてどうやら藩から出た様子。

礼助と八重の仲がそこまでだったとはまったく知らな
かった禎蔵。

藩内では、守口が死んだということで首謀者が捕えら
れますが、これにより反守口派が礼助に家老を斬らせ
たということが確定してしまいます。
禎蔵は三代川という朋輩にいったい藩で何が起こって
いるのか聞きますが、今はわれわれ下っ端が動いても
分からん、というのです。

数か月後、藩の執政は、旧守口派だった人達が失脚し、
代わりに新しい顔触れに。
そこで、織部という新しい筆頭家老が禎蔵に話がある
と屋敷に呼びます。もしや昇進かなどと三代川はうら
やましがりますが、織部の屋敷に行った禎蔵は、まあ
出世といいますか昇進には違いないのですが、藩主と
側室のあいだに生まれた子の剣術指南になってもらい
たい、というのです。しかし藩には正室の男子がいる
ので表には出てこられません。しかもこの話は他言無
用だというのですが・・・

知らないうちに藩内のゴタゴタに巻き込まれてしまっ
た禎蔵ですが、このまま新家老の織部派になるという
わけにもいかず迷います。
そもそも礼助はなぜ旧家老の守口を斬って、八重を連
れて逃げたのか。禎蔵は藩の内部事情をだんだんと知
っていくうちに、禎蔵も知らなかった実の父親の代か
らの因縁が・・・

全体を通して、暗いです。じつに暗いです。
そんな曇天ですがいつまでも続くことはなく、やがて
一筋の光明が見えてくるでしょう。


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