晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

藤沢周平 『橋ものがたり』

2019-11-19 | 日本人作家 は
別に約束したわけでもありませんが、週に一回は投稿
できたらいいなという「努力目標」は、まだたったの
三週目ではありますが、いちおう継続しております。

藤沢周平さんです。じつは(読まずぎらい)でした。
「暗い」という先入観といいますか、まあじっさいに
暗い話もありましたが、それでもその根底の「深い」
ところまでは、読んでみないとわからないものでして、
派手さはなくとも味わい深いことを知ってからは未読
の作品を見つけては手にしています。

タイトルどおり「橋」が舞台の短編集です。そういや
宇江佐真理さんの作品にも江戸のお堀を舞台にしたの
がありましたっけ。

幼なじみと五年ぶりに、小名木川にかかる萬年橋の上
で会うことになってる幸助。ところがお蝶は約束の時
間になっても来ず・・・という「約束」。
ひとり暮らしのおすみの家に突然「かくまって下さい」
と何者かから逃げてきた男。おすみは婚約中なのです
が・・・という「小ぬか雨」。
源作が両国橋で毎朝見かける、気になっていた女のひと
と、ひょんなことから話すこととなり、名前と勤め先を
教えてもらうのですが、行ってみるとそれはまったくの
嘘で・・・という「思い違い」。
夫に色女がいるという噂を耳にしたおもん。ある日、お
もんの育ての親が病気で余命いくばくもないと聞いたの
で駆けつけてみるとなぜかおもんは監禁され・・・とい
う「赤い夕日」。
父親は蒸発し、母親は飲み屋で働いて毎日酔って帰宅、
姉に(変な虫)がつかないように送り迎えをして自分の
遊ぶ時間を犠牲にしている朝吉が家に帰ると母が知らな
い男と・・・という「小さな橋で」。
吉兵衛が一代で大きくした小間物屋を息子に譲りますが
経営方針に納得できず、家に居づらくなって出かけると
橋の上に今にも身投げしそうな女性を助け、知り合いの
居酒屋の女将に預けますが、居酒屋に風体の悪い男らが
・・・という「氷雨降る」。
人妻の(お峯)と不倫して逃げて今は裏店にお峯とひっ
そりと暮らしている吉蔵。ここのところお峯の様子がお
かしいので隣に住む浪人の善左ェ門に見てもらうのです
が・・・という「殺すな」。
深川の呉服屋・美濃屋の娘おこうはもうすぐ祝言で浮か
れています。がじつはおこうは美濃屋の実の娘ではなく、
もらい子。そんなおこうのもとに「あんたのおとっつぁ
んの知り合いだ」と名乗る男が・・・という「まぼろし
の橋」。
博奕打ちの弥平は、賭場でのイカサマが親分にバレたの
で江戸から逃げて、そうして六年ぶりに江戸に戻ってき
た弥平は、亭主のせいで身売りしたおさよという女が気
になり・・・という「吹く風は秋」。
蒔絵師のまだ修行中の新蔵は、親方の家に通うために毎
朝大川の永代橋を渡るのですが、早朝に三日も同じ場所
に立ち続ける女を見かけますが、ある朝、その女が倒れ
ているのを見つけ介抱し、おさとという名前で飲み屋の
酌取りをしていると分かり・・・という「川霧」。

全体的に暗くはありません。ただ「ほっこり」はできま
せん。でもこの作品を読めて良かったなあと思えます。

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