晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎『熊田十兵衛の仇討ち(人情編)』

2023-09-18 | 日本人作家 あ

前回の投稿では学校のほうが忙しくて本を読んでないと書きましたが、とりあえず忙しさからは一旦開放され、なんとか本を読める状況にありますが、おそらく来月はブログに投稿できそうにありません。というわけで今月ちゅうに読めるだけ読んでおこうと思います。

以上、学生の本分は勉強。

さて、池波さん。この作品は短編集です。表題作はもうひとつの本懐編のほうに収録されてます。

雲霧仁左衛門の子分の山猫三次が越後で捕まり、州走の熊五郎という子分は三次に「きっと助けてやる」といって逃げます。越後から江戸まで厳重な警戒で護送することになりますが、江戸から火付盗賊改方の与力、山田藤兵衛が途中で出迎えることになり、新堀という宿の茶店に寄ります。じつはこの茶店のお延は未亡人で、亡き夫はかつて山田藤兵衛に仕えていたのですが、雲霧一味の捕縛のときに州走の熊五郎に殺されます。夫を殺した憎きその熊五郎の人相書を見たお延は愕然とします。数日前、雨宿りに寄った(ある男)が、まさに熊五郎そのものだったのです。しかもあろうことかお延はその男に体を許して・・・という「熊五郎の顔」。

浪人の堀小平次は、疱瘡にかかりますが。ふつう疱瘡にかかると瘢痕(あばた)が顔に残るので忌み嫌われますが、小平次は喜びます。というのも小平次は敵もちで潜伏中の身。某藩の家臣だったときに上役の妻と不義密通しその上役を斬って逃げてはや十八年。あのとき五歳だった上役の息子は仇討ちのため小平次を探しています。小平次は「熊川又十郎」という別の名前を名乗っているのですが、その名前の主とは四年前・・・という「あばた又十郎」。

按摩の豊ノ市は短気なのが問題。ある日、旅籠に泊まった侍の按摩をやることになり、酔っていた侍と口論になりますが、なんと侍の刀が二本ともありません。そこにある男が豊ノ市の腕をつかんで外に逃げます。刀を盗まれたと町役人に訴えることもできずに侍は出ていき、豊ノ市は旅籠に戻って、助けてくれた男のことを聞きます。江戸の深川・黒江町の又吉というのですが、じつは又吉、右手の指が五本とも無く・・・という「喧嘩あんま」。

江戸の伊勢町河岸におでんの屋台を出している栄次郎はかつて「お手玉小僧」という掏摸でした。その屋台に栄次郎の幼なじみの平吉が来ます。平吉は木綿問屋の婿養子となっていますが、いきなり栄次郎に助けを求めます。平吉が仲間内の寄り合いに出た料理屋に幼なじみのお長が女中として働いていて、再会を懐かしみ、また会い、いつの間にか深い仲に。平吉はお長に会うのをやめようとしますが、お長は「子ができた」と・・・という「おしろい猫」。

うなぎの蒲焼きや川魚の小料理の料理屋「鮒屋」で、ある浪人が無銭飲食をします。ところが主人の半蔵が浪人の顔を見るとたちまち血の気が引きます。そして次の日、その浪人が店に来ますが、半蔵は「酒を出せ」といい、浪人に無銭飲食させるのです。じつは半蔵、前は乱暴者で江戸から逃げて、ある宿に泊まったとき、隣の部屋から「まだ四十両はあるし、なんとかなる」という声を聞いて、夜中に隣の部屋に侵入し・・・という「顔」。

 

「人情」という話もあるのですが、全体的に「そういう理由だったのか」みたいな、謎解きではないですけどミステリのような構成といいますか。

次は本懐編。

 

コメント
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