晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『まぼろしの城』

2019-12-11 | 日本人作家 あ
読書が趣味になりはじめのころ、速読やってみよう
かな、なんて思ったものです。
というのも、本をたくさん読みたくて、月に30冊
近く読んでますという人を羨ましい、なんて思った
こともありまして、ですが、たぶん平野啓一郎さん
でしたっけ、なにかのテレビで「遅読のすすめ」と
いうことを話されていて、まあ確かにそうだよな、
何か月も何年もかかって書き上げて時間かけて出版
されたものをパララララとものの数分だかで読み終
わられてしまったら書いた方もショックですよね。

てなわけで、気に入った文章に線を引いたりはしま
せんが、まあゆっくり読もうかと。

そこをいくと池波さんの本は「面白過ぎて」あっと
言う間に読み終わってしまうので、じっくりゆっく
り読みたい派にとっては買う時にどうしようかなと
ちょっとためらうのですが、結局買ってしまうので
す。

『まぼろしの城』は、戦国時代の上州・沼田城のお
話です。戦国時代は中盤以降となって、中央のほう
では尾張の「うつけ」とかいう暴れ者が今川義元に
数の上で圧倒的不利にもかかわらず勝ち、その勢い
そのままに美濃から近江へと、そして京にのぼって
足利将軍に会い、戦国の世もそろそろ終わるのかと
ちらりと思うようになります。そうなると地方の弱
小戦国武将たちは「自分は誰についていったらよい
のか」と、おのが天下を獲るという夢よりも生き残
るために考えます。

現在の群馬県である上野国、利根郡・追貝(おっか
い)村の地侍、金子新左衛門の娘(ゆのみ)は婚約
者の男と逢引き中。ところがこの婚約者、いきなり
殺されます。
ところで、追貝村は沼田の城主である沼田万鬼斎の
支配を受けていて、その万鬼斎が追貝の領内にある
温泉に来るというので、新左衛門ははりきって湯治
用の宿所を急造させます。
万鬼斎が湯治に来て酒宴があった夜、新左衛門は娘
に水差を殿の寝室に持っていくように命じます。
しかし万鬼斎は寝ておらず・・・

(ゆのみ)を気に入ってしまった万鬼斎、なんと沼
田に連れ帰るというではありませんか。そして城内に
(ゆのみ)の居住スペースを新築し、正夫人がいる
にもかかわらず万鬼斎は(ゆのみ)にべったり、そ
して男の子が生まれ、金子新左衛門は屋敷と家来と、
さらに(金子美濃守)という名前まで与えられるこ
とに。

ところがこの頃、関東管領の上杉憲政が北条氏との
戦に敗れて越後に亡命します。憲政は越後の長尾景虎
に助けを求め、その後、景虎は(上杉謙信)と名乗り
ます。さらに甲斐には武田晴信(のちの信玄)、小田
原の北条氏も力をつけてきて、信越から関東、さらに
会津への交通の要所となっている沼田は、近いうちに
勢力あらそいの渦中になるだろうと・・・

それから幾年か過ぎ、万鬼斎は隠居し跡継ぎは正夫人
の息子になったのですが、あらぬ疑いがかけられます。
その蔭には今や(御曲輪の御前)と呼ばれている(ゆ
のみ)が、さらに父・金子美濃守が・・・

下請けや系列にとって取引先や親会社が合併だ倒産だ
となったら「うちはどうなるんだろう」「どうやって
生き残っていこう」と心配になるでしょう。
まあ今も昔も変わりませんね。現代ではさすがに殺さ
れる心配はありませんが。
コメント
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