晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

高田郁「みをつくし料理帖 今朝の春」

2018-03-07 | 日本人作家 た
なんだかずいぶん久しぶりに読んだなあ、と思って前作の
シリーズ3巻を投稿した日を調べたら去年の8月でした。

おおまかなあらすじですが、幼いころに洪水で両親を亡く
し、大坂で有名な料亭の女将に助けられて、やがて当時は
珍しい女性料理人になった澪(みお)。
それからのち、料亭の江戸支店に行った女将と亭主、澪は
店が無くなっていて、江戸支店を任せていた女将の息子は
行方不明、亭主は江戸で急死、女将は心労で倒れ、澪は
江戸で職探しをしていると、「つる家」という料理屋の主
と出会い、雇ってくれることに。
ですが、大坂風の味付けは江戸の庶民の口には合わず、心
が折れそうになりますが、つる家の種市、客で謎の浪人の
小松原、医者の源斎、長屋の隣人などの手助けや励ましで
やがて食通の間でもちょっとした噂になるのですが・・・

といったところ。

で、この本筋とは別に、澪が小さかったころの幼馴染みで
野江ちゃんという女の子がいたのですが、洪水で離れば
なれになります。
ひょんなことから、吉原に行く機会があり、そこで花魁
の(あさひ太夫)が、じつは野江ちゃんなのでは・・・?

で、まあ、豪快にネタバレしますが、あさひ太夫は野江
ちゃんでして、向こうも江戸で評判の料理人(澪)のこ
とを知っていまして、どういういきさつがあって遊女に
なったのか、また苦界にいる幼馴染みに会っていいもの
かどうか悩みます。

「花嫁御寮」では、とうとう小松原の正体が判明します。
それはそうと、「つる家」にふらりと寄った小松原ですが、
帰りに袋を落とします。その中身はなにかの種のようです
が、ある人に見せると、「ははきぎの実」だと教えてもら
います。(ほうき草)とも呼ばれ、箒を作る材料になり、
実は(とんぶり)といい、「畑のキャビア」なんて呼ばれ
たりもしますが、茹でて冷水にさらしてを繰り返して皮を
剥いてという大変な作業で、秋田では飢饉の代用食として
いるそうで、これをなぜ小松原が持ってたのか。すると
そこに、上等の駕籠が止まり、中からお武家の奥方が出て
きて「それは(ははきぎ)ではないのか?」と澪に聞く
のです・・・

「友待つ雪 里の白雪」では、つる家の常連客の清右衛門
という戯作者が新作を書くことになるのですが、その新作
とは、吉原の伝説の花魁「あさひ太夫」について、という
のですが・・・

「寒紅 ひょっとこ温寿司」では、澪の住む長屋の隣人、
おりょうと息子の太一の話。おりょうの亭主は大工で、
太一はふたりの実の子ではありません。太一の両親は火事
で亡くなり、太一はそのショックで喋ることができなくな
ってしまい、子がいなかったおりょう夫妻が引き取ります。
さて、そんな亭主ですが、今は新宿の建築現場に行ってる
のですが、なにやら新宿の遊女と仲良くなっているとの噂
が・・・

「今朝の春」は、毎年発行される「料理番付」ですが、な
ぜか今年は出ない様子。そこで版元から、現在(大関)の
江戸では高級な料理屋として有名な「登龍楼」と、(関脇)
の「つる家」の料理対決をしてくださいと提案があり・・・

この「料理番付」ですが、実際にあったのもので、創業が
江戸かその前という老舗のそば屋や和菓子屋は当時の番付
に載ってたりします。
で、料理対決に周囲は喜びますが、澪は喜びません。
というのも、前作か前々作で「つる家」に食中毒騒ぎがあ
って、それは澪の「つる家」ではなく勝手に「つる家」を
名乗って営業していた全く別の店だったのですが、それを
ろくに調べもせずに「つる家の支店から食中毒が出た」と
書いて大変な目に遭ったことがあり、版元を信用していま
せん。
今で言いますと口コミで評価するサイトで、どこの誰か
知らない人が「最低な店だった、二度と行かない」と書け
ば、評価は下がります。これをお店の人は「いきなり背後
から殴られた気分」と言ってましたが、そうでしょうね。
コメント
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