晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『春風ぞ吹く 代書屋五郎太参る』

2017-12-08 | 日本人作家 あ
気が付いたらブログのトラックバック機能が廃止されて
ましたね。
まあ今まで「してくれたらお返しにする」ぐらいでして、
自分から貼りに行ったことは数えるくらいしかないので
さほど困らないですかね。

さて、今作の主人公の肩書は「幕府小普請組」です。時代
小説などではたまに出てきますが、こころみに検索してみ
ますと

「江戸幕府における家臣団の一組織。 3000石以下の旗本,
御家人の無役の者で編成され,旗本を小普請支配,御家人
を小普請組とした。無役無勤の者で普請があった際に家人
や召使を出したのが起りである」

とあります。主人公、村椿五郎太は父をはやくに亡くし、
若くして家主となります。何代か前までは御役に就いてた
のですが、ある凡ミスで小普請組に落とされます。

(逢対日)という、御役で空きができるのを待つという
今でいうハローワークのようなものがあったのですが、
五郎太は「なるようになるさ」と積極的に御役入りを
望んでません。

ですが、生活が苦しいので御役入りはしたいのは事実。
そこで、湯島の学問所に通って、学問吟味、国家公務員
の試験のようなものですが、これに合格するべく日々勉
学にいそしんでいます。
それでも生活が苦しいので、文字が書けない人のために
手紙を代筆する「代書屋」のバイトをしています。

御役入りしたい理由がもうひとつあって、こっちが本当
と理由なのですが、幼なじみで近所に住む俵家(こちら
も小普請組)の娘、紀乃と結婚したいのですが、俵の
主人(紀乃のお父さん)が「無役の男に嫁がせない」
と反対していてるのです。

代書屋でちょっとした問題が起こってそちらで奔走した
り、紀乃との恋の進展もうまくいかず、学問吟味で優秀
な成績を収めたいという本気度があまり見えず、学問所
の先生も期待してはいるのですが、どうにもこうにも。

はたして五郎太は学問吟味で及第(合格)できるのか・・・

物語の後半で、五郎太はある(大物)と出会うのですが、
豪快にネタバレをぶっ込みますと、太田蜀山人。
狂歌の歌人として有名ですが、実はこの人も御家人で、
歌人をやめて一念発起、学問吟味で主席で合格、支配勘定
に就任し、大坂銅座、長崎奉行などを歴任します。

で、文中に「辞世の句を詠まなかった・・・」とあるの
ですが、たしか「今までは 他人が死ぬと 思いしが 俺が
死ぬとは こいつぁたまらん」という有名なものがあるの
ですが、蜀山人だったような。
コメント
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