晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『その男』

2017-04-15 | 日本人作家 あ
とりあえず、ゴソッとまとめて買ってきた池波さんの本、
シリーズものではないやつですね、これでおしまい。
まあですが、近いうちにまた買ってくるでしょうけど・・・

この作品にも美味しそうな料理が出てきて、作って食べて
みました。

「大根おろしへ梅干の肉をこまかくきざんだものをまぜ合せ、
これへ、もみ海苔と鰹ぶしのけずったものをかけ、醤油を
たらした一品で、炊きたての飯を食べる。」

浦里(うらさと)という料理で、吉原で、なじみの客に、酒の
ツマミやご飯のおかずに出していたそうです。

「ちょいと、その、うまいものだ。」

とあり、じっさいに、メチャクチャ美味いとかいうものではなく、
この「ちょいと、その、うまいものだ」という表現がピタリ。

さて、物語は幕末。杉虎之助という少年がいます。旗本の家に
生まれますが、いかつい名前とは逆に病弱で、義母にはつらく
あたられ、十三歳になったある日、もう家にいてもしょうが
ないと思った虎之助は、ふらふらと町を歩き、川へ落ちてし
まいます。

そこへ、川を泳いで虎之助を助けた侍が。

池本太兵衛というこの侍、この日は名乗らずに消えます。が、
またある日のこと、虎之助はあのときの命の恩人を見かけ
ます。ところが、なんと五人の刀を抜いた武士に囲まれて
いますが、「危ない!」と虎之助が顔をふせ、恐る恐る
見てみると三人が倒れていて、二人は恐れをなして逃げて
います。

これを見た虎之助は、衝動的に「弟子にしてください」と
お願いをします。

そこで、池本太兵衛は、虎之助の叔父の山口金五郎の家に
行き、剣術の修行のため虎之助をしばらくあずかると
告げます。

それから六年。病弱だった虎之助はすっかりたくましく
なって江戸に戻ってきます。

師匠の池本太兵衛はどこかへ行っているようで、虎之助
のもに手紙が届きます。それは、ある女性をともなって
彦根まで来てほしい、というもの。

太兵衛の(知り合い)はすべて段取りを済ませていて、
礼子という女性とさっそく旅立つことに。
ルートは、東海道ではなく中山道を通って行きます。
その途中、礼子が「五人の追っ手が来ている」と
言い、気をつけながら進んでいると、ある宿場町の
茶店で、(薩摩なまり)とわかる侍に声をかけられ、
いきなり斬りつけてきて・・・

どうにか逃げて、無事、礼子とともに彦根に着き、
太兵衛に引き合わせます。そして、虎之助に
江戸に帰れと言い、本人は「遠いところ」へ行く
とだけで、別れることに。

このとき、日本では、ペリーの黒船が来て、それから、
安政の大獄、桜田門外の変と幕府の屋台骨がぐらつき
はじめてきて、そこから一気に崩壊へと突き進むわけ
ですが、そんな中、池本太兵衛は何をしているのか。
そして、あの礼子という女性と、それを追う薩摩藩士。

ここから話は京都へと移り、虎之助は、中村半次郎という
薩摩の郷士と知り合うことに。

それから、なんだかんだで江戸幕府は終わり、明治の
新政府に。虎之助は、なんと床屋になります。
で、まあ、史実どおりにいくとですね、中村半次郎は
「桐野利秋」と名を変え、陸軍少将に。
しかし、西郷隆盛が鹿児島に帰ることになると、桐野
もいっしょに鹿児島へ帰ることに。
で、どういうわけか、虎之助もいっしょに鹿児島へ・・・

そういえば、次の大河ドラマは、西郷隆盛でしたね、たしか。
だいぶ前に年末時代劇とかいうので「田原坂」をやって、
それは見た記憶はあるのですが、ほとんど内容は覚えていま
せん。予習という意味でも、読んでおいて良かったです。

それにしても、歴史上の人物で「~さん」付けで呼ばれている
のは一休さんと西郷さんぐらいだ、とどこかで聞いたことが
あって、ああそういえばそうだなと。どれだけ庶民に慕われて
いたかというのがこれだけでもわかりますよね。
コメント
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