晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

安生正 『生存者ゼロ』

2017-01-05 | 日本人作家 あ
新年ですね。
今年もよろしくお願いします。

ここ最近、特に去年は時代小説ばかり読んでいて、たまには現代モノも
読まねば・・・と思って本屋で手にしたのがコチラ。

この作品は、第11回「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作で、
この賞の受賞作は大賞はもちろん大賞以外の優秀賞や最終候補で出版
されたものはそれなりに読んでいますが、だいたい間違いないですね。
つまり「読んで後悔しない」ということ。まあそこは人によります
けどね。

北海道、根室沖の石油掘削施設から応答がなく、テロの可能性もある
ということで、自衛隊の廻田三等陸佐は数人の部下とヘリで現場へ
急行。そこは、職員全員が死亡していて、しかも原因がわからない
無残な死体が累々としている凄惨な現場。

ある研究所の職員、富樫は、ある朝突然、連行され、着いた場所は
首相官邸。そこで、石油掘削現場で正体不明の感染症が発生したと
聞かされるのです。

富樫は、かつて国立感染症研究所の職員で、若くして権威ある賞を
受賞するなどの超エリートでしたが、同僚の策略で研究所を辞職
し、アフリカ奥地で新種のウィルスを探す研究をしていて、そこで
妻と子を病気で亡くし、日本に戻ってきたもののかつての輝きは消え、
どうやら心の均衡のためクスリに手を出している様子。

石油掘削プラットフォームから戻ってきた廻田と部下は、一時隔離
されています。

富樫は原因究明のため施設で研究をしていたところ、2週間ぐらいで、
隔離されていた自衛隊員は発症の恐れ無しと判断され退院、どうやら
政府が終息宣言をしたようで、解明に頑張っていた富樫はお払い箱に。

八か月後、廻田はふたたび北海道へ。しかし今回は洋上ではなく、内陸
の標津町。廻田はこの間、部下の自殺があり配置換えで中央情報隊に。
標津町に行ってみると、そこはあの石油掘削現場で見たのと同じ症状
で人々が死に絶えていて・・・

首相官邸の緊急会議に呼ばれた廻田は、政府の無策ぶりにあきれはて、
自衛隊に戻ると、上層部に呼ばれます。そこで、自衛隊独自で情報収集
と原因究明にあたるとして単独捜査を命令されます。
一方、研究所から追い出された富樫はふたたび官邸に呼ばれますが、
富樫はもはや常軌を逸している様子で、挙句これをマスコミにバラして
やると飛び出していきます。しかし、富樫はコカイン所持と仕様の疑い
で指名手配に・・・

そうこうしているうちに、北海道東部では謎の感染症が拡大中。
はたしてこの正体は。富樫の妻が死の直前に口にした「パウロの
黙示録」とは・・・

読み始めたら一気に物語に引き込まれて、ページをめくる手が
止まらないぐらいの勢いで大興奮のまま読み終えました。
アドベンチャー系の小説はフォーサイスやクィネルなどは好きで
読んでいましたが、これが日本人作家の作品で日本が舞台と
なると、どうも迫力に欠けるというかそういう先入観があったの
ですが、服部真澄「龍の契り」「鷲の驕り」「ディール・メイカー」
の初期3作を読んだときにその考えが一変しました。
この『生存者ゼロ』は、そのとき以来の衝撃です。

コメント
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