晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

恩田陸 『ロミオとロミオは永遠に』

2013-07-05 | 日本人作家 あ
すいません、ずいぶん更新の間が空いてしまいました。

基本的に読書タイムは寝る前の1時間くらいなのですが、読む本によっては
(1ページ目から「これは絶対に面白い!」と引き込まれるような)、気がつい
たら3時間くらい読んでたり、強烈に面白いのになると、窓の外が明るくなって
いて軽く自己嫌悪したりします。

で、今回読んだ『ロミオとロミオは永遠に』、文庫で上下巻あって、そこそこ
長かったのですが、1日1時間どころか、数ページ読んで寝落ちしてしまい、
とにかく上巻を読むのに時間がかかってしまいました。

舞台は、近未来の日本。地球には日本人だけが残り、彼らに任された「仕事」
とは、産業廃棄物、化学物質、核廃棄物などの処理。
住む場所や仕事などあらゆることが制限されますが、唯一「明るい未来」が
約束されるには、高等教育を受けること。つまり「大東京学園」の卒業総代に
選ばれなければならず、しかしそこはものすごく狭き門。

そもそも、入学するだけでも厳しい試験を勝ち抜かなければなりません。

そんな、今年度の新入生のひとり、アキラは、入学試験で最も厳しいとされる
北海道地区から合格したシゲルという美少年と出会います。

さて、意気揚々と入学式にのぞもうとする彼らの前に現れたのが、やけに
ハイテンションのタダノ。彼は生活指導の先生なのですが、普通の人間では
ありません。

「大東京学園」は3年制で、1学年は7クラス。各クラスには、かつての日本
の首都、東京23区名が付けられています。その中でも港クラスは成績優秀の
2年生以上が入れるエリートクラス。そして、新宿クラスは、そこに落ちたら
最後、卒業後も危険な地雷処理の仕事を死ぬまでやらされるのです。

アキラとシゲルは、同じクラスに入ることに。授業といえば肉体労働ばかり。
しかしそんな中、先輩たちは夜毎、どこかへと出かけていきます。
そこは、厳しく禁止されているはずの、サブカルチャーが蔓延する地下世界
だったのです・・・

アキラが「大東京学園」に入った理由。それはもちろん卒業総代になりたいと
いうのもあるのですが、じつは、アキラの兄も「大東京学園」に入学していた
のです。しかし兄は、脱走は不可能とされる学園から(過去に試みた人は途中で
捕まって消された)風のように消えたのでした。いったい兄はどこにいるのか。

何者かにハメられて新宿クラスに落とされることになったアキラ。そこで知った
驚きの事実とは・・・

先述した「上巻を読むのにに時間がかかった」というのは、情報がてんこ盛りで、
混沌とした世界観を頭の中でまとめるのに時間がかかった、というのが正確。
そこからなんとか話を掴んできて、あとはバーッと読み進めることができました。


「人類の衰退の原因はサブカルチャー」という近未来のお話。文中に出てくる
”20世紀”のサブカルチャー用語は「ああ、これはアレね」というのもあれば、
「何だろう?」というものあって、それを見つけたりするのも面白いです(後ろの
ほうに【サブカルチャー用語大辞典】というのがあります)。

これはあくまでSF、フィクションの話なのですが、そういえばある政治家が
児童ポルノ改正法に関して、もしも有名なボーカロイドが死んだら「あしたの
ジョー」の力石の時のように葬式が行われ、若者は犯罪に走る、と発言。
『ロミオとロミオは永遠に』が書かれたのは10年以上前。ちょっと怖くなりました。





コメント
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