晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

パトリシア・コーンウェル 『スズメバチの巣』

2011-10-06 | 海外作家 カ
この作品は、コーンウェルの大ヒット作、検屍官ケイ・スカーペッタ
のシリーズではなく、警察小説で、舞台もおなじみのリッチモンドで
はなく、こちらはシャーロット。まあどちらもアメリカ東部には違い
なく、しかもどちらも治安が良いというイメージはありません。

で、このシャーロット市とタイトルの「スズメバチ」との因果関係
を文中で軽く触れています。なるほど、シャーロットが本拠地の
バスケットボールチーム(ホーネッツ)もハチですね。

話の主軸となっているのは、シャーロット市警察の美人で独身の
署長補佐ヴァージニア・ウェストに、署長(こちらも女性)の
ジュディ・ハマーから、“ある人物”とパトロールの同行をして
ほしいと頼まれます。その人物とは、市内の新聞(オブザーバー)
誌の警察担当記者アンディ。

これには、署長、オブザーバー誌の経営陣、さらに市長の意向が
あるようで、要は(警察のイメージアップ作戦)のようなもの。
というのも、ここ最近で、シャーロットに仕事で訪れたビジネス
マンが立て続けに殺害されるといった事件があり、しかもこれら
のに共通しているのが、人影の無いところの車内で殺されている
のです。そして、死体の股間にオレンジ色のスプレーで謎のマーク
が・・・

ところが、この連続ビジネスマン殺しの犯人探しは主軸となって
はおらず、もっぱらヴァージニアとアンディの、はじめは反りが
合わずギクシャクしていて、そのうち理解し合うようになってい
く、そういった関係、ヴァージニアとアンディそれぞれの家族の
問題、それからハマー署長の家族問題も、あとはその他の人物と
の複雑な人間関係といったところに重点が置かれていて、つまり
これはミステリーやサスペンスと期待して読み始めたら「あれ?」
と肩透かしをくうことになるので、あらかじめそうではないと
知っておいたほうが良いですね。

ビジネスマン連続殺人の犯人、その捜査過程その他諸々、まあ
ずいぶんアッサリと描いていて、やや物足りない感はありますが、
あとがきによると、この作品もシリーズになるようで、第1作は
あくまで顔見せ的スタンスなんだとか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする