晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ディーン・R・クーンツ 『ファントム』

2011-10-02 | 海外作家 カ
我が家の書棚(翻訳本エリア)には、クーンツがけっこう
増えてきたんですが、青い背表紙の文春文庫が多く、この
『ファントム』はハヤカワで、文春時代が傑作が多いと
クーンツファンは言うのですが、この『ファントム』は、
間違いなく(傑作)に入りますね。

両親を無くし、歳の離れた妹リサを引き連れて、勤務先の
スキーリゾート地、スノーフィールドへ向かう医師、ジェニー。
しばらく会ってなかったので会話もぎこちない姉妹ですが
なんとか打ち解けようとします。

そして、スノーフィールドに着いたのですが、シーズン前
とはいえ、街はあまりに静か。静かを通り越して不気味。

診療所に入ると、いつも出迎えてくれるはずのお手伝いの
女性がいません。奥に行くと、女性の惨殺死体が。仲の良い
近所の家でも、パン屋でも、住人が殺されています。

分署に向かうと、保安官はいなく、無線機は破壊されています。
どこかの気のふれた奴の仕業なのか、様子をうかがうと、姉妹
は、不思議な“影”のようなものに見られているような気が
します。

なんとか通じている電話を見つけ、警察に電話をします。
500人からの住人が消えた、あるいは殺されたという怪事件
に、保安官は、放射能、細菌兵器、あらゆる疑いをかけて、
米軍の生物化学課チームの派遣を要請。

警察が到着し、姉妹といっしょに街の様子を見てまわっている
と、警察の1人が突然消えて・・・

はたして、街の住人はどこへ消えたのか、誰に殺されたのか。
誰に、ではなく、何に・・・?

とても恐ろしいです。「見えない敵」の心理的恐怖がじわり
じわりと読み手の本を持つ手を震わせ、まさにホラー。
でもただのホラーではなく、人間模様もしっかりと描いていて、
幅と奥行きを持たせています。

途中で出てくる暴走族のリーダーと、殺人犯。何か関係あるの
かどうか、まったく関係ないのか、そういうサイドストーリー
と本筋との絡ませ方も面白いですね(最終的にこのふたりは
かなり関係してくるのですが)。

コメント
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