晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

藤本ひとみ 『バスティーユの陰謀』

2009-12-11 | 日本人作家 は
『バスティーユの陰謀』は、1789年のフランス革命前夜
から、バスティーユ牢獄の陥落までという、世界史の授業
でもけっこう重要な部分を描いた作品です。

「ベルサイユのばら」は、王室ならびに近衛兵側を中心に
描かれていいますが、『バスティーユの陰謀』は庶民側
の日々の苦しみから暴動に至る経緯が、それこそ街の
裏路地にフォーカスをあてているかのような描き方。

パリの孤児院で育ったジョフロアは、成長して家具職人
の家に住み込みで働きますが、すぐに逃げ出し、整った
容貌を武器に、さまざまな女性の家に転がり込み、カフェ
で給仕として働きはじめます。

ある日、街中でガスパールという少年と出会います。田舎
者丸出しで、愚直で騙されやすいガスパールを、ジョフロア
はどこか放っておけずに、いっしょの部屋に住まわせます。

この当時のフランスは、冷害、雨不足と農業に大打撃で、
麦の値段は高騰、パンは庶民の1日分の給料では買えな
いほど。
パリでは、庶民も政治に参加できる「三部会」開会の話題
で持ちきりとなりますが、どうやらそれで庶民の生活が改善
されるような事になりそうもなく、金持ちの陰謀説があちこち
で囁かれはじめるのです。

市内に漂っていた不穏な空気はついに爆発し、暴動が起こり
ます。金持ちの家が襲われ、軍隊が出動し収まったのですが、
市民に発砲したことで庶民の国政に対する不信感はさらに強
まり、さらに大きな暴動が起こりそうな気配。

ガスパールは仲間の労働者とともに暴動に出かけ、死んでし
まいます。ジョフロアは日々周りの人間の顔色を窺い、決して
騙されまいと気を張った生活から開放される瞬間はガスパール
の純真無垢な心に触れる時で、そのガスパールを失ってから
というもの、投げやりになってしまいます。

三部会は機能せず、国王はパリの治安制定のため、外国から
傭兵部隊をパリ市州域に配置しようとしますが、それを知った
庶民の怒りはついに沸点に達し・・・

確か、世界史の授業での記憶には、バスティーユ牢獄に収監
されている囚人を救い出すために陥落させた、と思っていたの
ですが、実際には牢獄としての機能はあまり果たされておらず、
囚人も数人しか収監されていなかったのです。
ただし、王国の管轄する建物が庶民の手に落ちたということで
バスティーユ陥落は革命の象徴ということになったのでしょうね。

とにかく陰謀、陰謀が渦巻き、革命は必然だったのでしょうか。
コメント
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