晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

マイケル・M・スミス 『スペアーズ』

2009-02-12 | 海外作家 サ
裏表紙には、「スピルバーグのドリームワークスが映画化権を獲得した、
人類の壮絶な行く末を予感させるノワール・スリラー」と書いてあり、
面白そうだと思い、買って、読んでみたのですが、はじめの数十ページ
で、物語の内容が把握できない・・・ 
まるで、上下巻の下から先に読んでしまったような印象を受けたのです。
それくらい、文中には意味の分からない単語、登場人物のオンパレード。
まあ、その後に説明があるのですが、それが謎めいているというよりは
疑問を抱えつつ読み進めていくことのストレスが生じてきます。

かつて、街の機能をまるごと載せた超大型飛行機が不時着したのがそのまま
街となり、それはニュー・リッチモンドと呼ばれ、高層ビルには商店、娯楽
施設、住居があり、下層階は治安悪く、上にいくにしたがって富裕層が住む
といったような階級序列が構築され、マフィアが権力を持ち、警察は腐敗。

そこで、あるビジネスが誕生します。それはクローンを利用した医療。
病気になったり事故で体の部分を切断するときに、移植や接合させるには
拒否反応を避けなければならず、それにはクローンを用いれば拒否反応は
起こらないので、「農場」と呼ばれる施設に、金持ち階級は、自分や子供
のクローンをそこで生活させて、いざ事故だ病気だとなれば、そのクローン
の体の一部を移植するというもの。これが、文字通り「スペア」という存在。
いうなれば交換部品ってことですね。クローンは、教育も受けさせず、生活
環境も劣悪、ただ本家の体のために生きながらえさせておく存在にすぎません。

で、「農場」の管理人をしていた、かつてニュー・リッチモンドで警察官
だった男が、スペアの家畜以下の扱いに見かねて、教育を受けさせ、やがて
数人のスペアを引き連れて「農場」を脱走するのです。

・・・とまあ、ここからは、異空間だの戦争だのとストーリーがごちゃごちゃ
してきて、話が飛びまくり、読み終わるまでに頭の中で物語を整理させるのに
大変でした。

そんな中にあっても、心に残る文章やセリフを見つけたというのは、本を読む
うえでの至上の喜びです。

・「いくつになってもナルニア国を捜すことはできるが、そのころにはあまりに
年を取りすぎて、ナルニアのほうで来てもらいたくないと言いだすかもしれない」
・「人は倒れて闇の訪れを待ち、静かに人生に別れを告げて、死へと滑り落ちて
いくべきではない。走りつづけるべきなのだ。本当に恐いのはただ一つ、走るの
をやめること」
・「思い出とは読んでからなくしてしまった本程度のものでしかなく、その後の
人生を縛る聖書ではない」




コメント
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