やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

カイルベルト/NHK交響楽団

2005-07-28 | 古きテープから
1965.1.19 東京・東京文化会館
プログラム ブラームス/交響曲第二番 他は不明
指揮:ヨゼフ・カイルベルト/NHK交響楽団

カイルベルト晩年の演奏です。40年も前の演奏です。
彼の劇的な死(ワグナーの「トリスタンとイゾルデ」を指揮中に、心臓発作で
樹が倒れるごとく亡くなった)の3年前でです。

N響の管が不安定なまま曲は始まりますが、演奏はやがて修正され、
ひと昔前の、渋く、思慮深いブラームスの姿を描いてゆきます。

弦は、これ見よがしな、妙に引き伸ばしたやうな処は無く、粗い美しさです。
第二楽章に、それがよく出てゐます。
この、たほやかなアダージョ・ノン・トロッポが、凛とした愁ひを見せてゐます。

閑話

カイルベルトのモーツァルトが以前から好きでした。
如何にも素っ気無い演奏ですが、バンベルク交響楽団の美しさも中くらゐですが、
泣ける演奏でもありませんが、モーツァルトはこれでよいのだ、これで充分なのだ
と思はせる説得力のある演奏です。
無駄に付け加へたものは、やがて剥離してゆく。それならば、必要な部分だけで
形作ってゆかう、それを地で行なったやうな演奏です。